<Beyond Mobilityのエネルギー貯蔵・電動化推進レポートから>
電気自動車向けの最先端素材と技術の開発は、イスラエルのエネルギー自立にとって常に必要不可欠だった。
内燃機関(ICE)から脱却し、交通の動力源をバッテリーや燃料電池ベースのものへと移行する必要性があることは、イスラエルの原油依存低減のための国家プログラム「Fuel Choices and Smart Mobility Initiative」設立にあたって、主要な原動力の一つとなった。
この構想の制定を受け、政府主導の共同事業体INREP(注)およびTEPS(注)を通じて、エネルギーや電動化推進の技術開発と産業化は大きく加速された。
(注)
INREP(イスラエル国立電気化学推進力研究センター)は学界中心のプログラムである。イスラエルの6つの学術機関で構成され、企業数社もメンバーとして参加するこの共同事業体は、技術成熟度レベル(Technology readiness levels, TRL)1-3で行われる学術的研究に重点が置かれている。
TEPS(輸送電気動力ソリューション)は、産業界中心のプログラムである。5つの企業で構成され、4つの学術機関から支援を受けるこの共同事業体は、技術成熟度レベル3-7以上で行われる産業的研究開発に重点が置かれている。
現在、これらの領域において活動中の企業は80社以上存在し、主要な5つの下位領域で活動している。
Beyond Mobilityは、エネルギー貯蔵、電動化推進、およびEV技術の領域で活動するそれらの企業をレビューしてきた。また、すべての関連研究施設、および同領域の業界リーダーたちへのインタビューも実施した。この調査から得られた結論は以下の通りである:
- イノベーションは業界の全ての下位領域のいたる所で見られる。セルレベルのリチウムイオン電池はイノベーションの最重要領域である。
- 学術的研究がイノベーションの原動力であることが証明されている。
- 同領域でアクティブに活動し、破壊的テクノロジーを開発している企業の多くは現在、比較的アーリーステージにある。このことは、INREPやTEPSのようなプログラムの影響力の大きさを見ても分かる。それらの企業のソリューションは産業ニーズに対応して具現化・形成されうる。
次の表は、イスラエルの状況の概要を6つのサブカテゴリーに分けて表し、各領域で活動中の会社の数を技術成熟度レベル(TRL)ごとにまとめたものである:
これらの企業の中の1社にElectreonがある。Electreon共同創業者兼CEOのオレン・エゼル氏は次のように述べる:「電気モビリティはすでに存在しており、すぐに、何百万台もの多様なクルマを支えるために規模の拡大が必要になります。そのための基盤を、バッテリーと複雑で課題の多いインフラだけに依拠することには、非常な困難が伴います。Electreonは現在、スウェーデンとテルアビブで実証プロジェクトを計画しており、走行中のEVに無線で充電できる道路が、電動化革命の完全な実装を後押しするものであることを示そうとしています。まずは長距離トラックや都市内バスなど、挑戦しがいのある大型特定用途車両から始めます。」
Electreonは無線電気道路(ERS)開発・施工のグローバルリーダーである。無線ERSは走行中のEVに充電するための未来のプラットフォームで、バッテリーの大きさや送電網の負荷を減らし、運用を円滑化して、視覚的な危険要因をなくす。Electreonの参入する市場は、都市内バスや都市間長距離トラックといった巨大セクターである。このセクターは世界の輸送に係る温室効果ガス排出のかなりの比率を占めており、有効な排出量削減ソリューションを持たない。無線ERSは共有プラットフォームのため、追加投資することなく共通インフラで他のあらゆる種類のEVにも充電することが可能である。
この記事は、Beyond Mobilityのエネルギー貯蔵・電動化推進レポートから要点を抜粋したものである。同レポートは、イスラエルの8つの総合大学と関連単科大学への調査、および業界リーダーや対象領域の起業家へのインタビューに基づいて作成された。すべての権利はBeyond Mobility ltdに帰属する。