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REPORT

業界レポート『CES2021レポート: 今年のテクノロジー 注目点』

自動車業界、そして未来のモビリティ社会に関連する業界の最新動向や、世界各国の自動車事情など、さまざまな分野の有識者のレポートをお届けします。

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 本年1月11日(月)~14日(木)開催されたCES2021を含め、本年の自動車産業を取り巻くテクノロジー動向、について纏めてみた。

CES2021の概要

 CES(Consumer Electronics Show)は、名前の通り電子機器を主体とした展示会であるが、近年はモビリティ・テクノロジーも大きな柱の一つとして定着し、自動車業界からも、毎年多くの企業が出展・参加する年始の行事として定着していた。しかし、本年は一変、コロナ禍の為、開催は100%オンライン、出展企業も昨年の約4500社に対し、今年は1893社と6割減。また参加者も、昨年はリアルで17.5万人、対して、本年はバーチャルで7.3万人、これもまた6割減。数字の上では規模縮小は否めないものの、リアルがもたらす肉体的ハードシップよりも、却ってバーチャルの方が展示を何度も繰り返し見ることができてよかったという声もある。

 今年の全般的な特徴として、出典カテゴリー別企業数を見ると、IoT/センサーが一番多く、全体の約3分の1を占める600件超であった一方、デジタルヘルスが400件超を占めた。また、恒例のイノベーション・アワードでは、受賞総数386点中、ヘルスウェルス分野が一番多く、43件を占めていた。この辺りは、コロナ禍という事情を反映してのものと考えられる。

モビリティ関連での受賞

 前述のイノベーションアワードの中でも20件は、「Best of Innovation」を受賞した。モビリティ関連では、Waymoが第五世代自動運転システムがこれを受賞した(*1)。2020年3月に発表されたもので、現在、Jaguar I-Paceに搭載され実証実験が行われている。搭載されたLiDAR(ライダー)や高性能カメラ、レーダーなどは、性能が向上し、車両の360度監視に加え、約300メートル離れている物体までの距離や方角、大きさなども把握できるようになっている。

 自動運転分野では、Kodiak社の長距離トラック用自動運転システム(*2)、Plus(智加科技)の大型トラック用自動運転システム(*3)がHonoree賞を受賞。人流に加え物流の自動化が注目されていた。

その他では、Continentalが、「トレーラー用後方透視システム」、「スピーカーレス・オーディオ」、「自動運転用長距離レーダー」の3件について(*4)、イスラエルのスタートアップVayyarが「高精度ミリ波レーダーによる4Dイメージセンサー」(*5)について、等、興味深いテクノロジーの受賞があった。

General Motors

 今回、少し残念であったのは、自動車OEMからの出典が極端に少なかったことだ。モーターショーが凋落する一方でこれまで気を吐いてきただけに、寂しい。中でも、唯一、GMはキーノート・スピーチと共に精力的な発表を行い、注目を集めた(*6)。主要点を纏めると:

  • 伝統のロゴを新デザインに変更。電動化のイメージを前面に。
  • 2025年までに、電動化と自動運転に270億ドル(約2兆8000億円)を投資。
  • 2025年までに約30車種のBEVを市場投入
  • その他電動化モデルとして、Cadillac Lyriq(2021年前半)、Bolt EV(2021年中)、Hummer EV(2021年後半)、クロスオーバーEV Celestiq(発売時期未公表)等を発表
  • 次世代EVプラットフォーム(※2020年3月に発表済)
  • LG化学と共同開発したUltium Battery
  • Brightdrop: 法人顧客に、電気自動車とコネクテッド製品のエコシステムを提供する新事業。物流会社を対象にラストワンマイルまで一貫して電気を動力として作動する商品、ソフトウェア、サービスから成るエコシステムを提供する
  • Cadillac Halo portfolio: 陸上と上空、夫々での自動運転による移動を演出する個人用自動運転車、及び、GM初の電動垂直離着陸機からなるコンセプトモデル。

Cadillac LYRIQ pairs next-generation battery technology with a bold design statement which introduces a new face, proportion and presence for the brand’s new generation of EVs. Images display show car, not for sale. Some features shown may not be available on actual production model.

 

新たな展開の気配

 Sonyは、昨年CES2020にて発表したEVモデル “Vison-S”について、本年も再度出展し、2020年暮れからオーストリアで公道を使っての実証実験を展開中である旨を公表した。Vision-S自体の市販について、Sonyは未定としながらも、新スペックを公開し、各種センサー総数を40個に増強(CES2020モデルは33個)する等、着実な進化が感じられる。

一方で、これはCES2021とは直接の関係はないことだが、でも、開幕直前に、「AppleがApple Carの製造をHyundaiと協議中」とのニュースが突如あり。何れも確定情報は無いものの、場外ではC大いに盛り上がりを呈した(*7)。

 ITプラットフォーマーの自動車ビジネスへの新規参入については、その後も話題は絶えず、今後、このページでも改めて取り上げてみたい。

 

まとめ

 改めて、全体を振り返る意味で、CESの主催団体であるCTA(Consumer Technology Association)は”CTA’s 2021 Tech Trends to Watch”として、「デジタルヘルス」、「ロボティクス&ドローン」、「5Gコネクティビティ」、「デジタル・トランスフォーメーション」、「ビークル・テクノロジー」、「スマートシティ」の6つを挙げている。

 更に、加えれば、「環境問題、特に脱炭素化への対応」、自動運転テクノロジーに関連した「Intelligent of things(あらゆるものへのAI搭載)」、という様な点を念頭に、今年1年のテクノロジー動向を見てゆきたい。

 

_____________________

*1: https://www.ces.tech/Innovation-Awards/Honorees/2021/Best-Of/T/The-Fifth-Generation-Waymo-Driver.aspx

*2:     https://www.ces.tech/Innovation-Awards/Honorees/2021/Honorees/K/Kodiak-s-self-driving-long-haul-trucks.aspx

*3:     https://www.oemoffhighway.com/trends/gps-automation/news/21040253/plusai-debuts-selfdriving-commercial-truck-solution-at-ces

*4:     https://www.continental.com/en/press/press-releases/outstanding-innovation-245720

*5:     https://www.ces.tech/Innovation-Awards/Honorees/2021/Honorees/V/Vayyar-s-Automotive-Solution.aspx

*6:     https://www.ces.tech/Articles/2021/January/General-Motors-Forges-Path-to-Electric-Vehicle-Ado.aspx

*7:     https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-01-08/hyundai-shares-jump-most-since-1988-after-report-on-apple-tie-up

*8:     https://jp.reuters.com/article/china-baidu-geely-automobile-idJPKBN29G0C4

*9:     https://www.woven-planet.global/jp/home

*10:https://media.ford.com/content/fordmedia/fna/us/en/news/2021/02/01/ford-google-accelerate-auto-innovation.html

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