自動車業界ライブラリ > コラム > AYAの徒然草(93) 『謙遜は必ずしも美徳ではありません。』
AYAの徒然草(93) 『謙遜は必ずしも美徳ではありません。』
仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。
……………………………………………………………………………………………
第 93 回 『謙遜は必ずしも美徳ではありません。』
先日、中学時代の親友から「彩ってさぁ、本当に単純だよね。」と言われてしまいました。加えて言われたことは、「本当にさぁ、褒められるとすぐに図に乗るし。」と。
確かに私は単純ですし、褒められたら図に乗るかもしれません。私は、褒められることが大好きです。褒められるとものすごく嬉しくなります。小さい頃、学校の勉強は、良い点をとって親に褒められたくてがんばっていました。辛いピアノの練習も、難しい曲が弾けるようになって親や先生に褒められるのが嬉しくてがんばっていたようなものでした。また、これは今もそうですが、私を褒めてくれる人が私の尊敬する人だったら、その喜びはさらに何倍にもなり、私の気分はもう舞い上がってしまいます。
さて、私が先日、中学時代からの親友に単純だと言われたのは、こんな話をしたからなんです。2 週間ぐらい前に、10年ぶりに会社の同期入社の男性と再会したんです。新入社員の頃から仲が良かったのですが、途中から、彼の方が海外駐在や地方転勤などが多く東京にほとんどいない状況となり、なかなか会う機会がなかったのです。それが先日、東京に出張の予定があるという連絡をもらい、久々に会い、ゆっくり話しながらお互いの近況報告をしたんです。
10年ぶりの再会ですから、お互い、随分と歳をとっていますよね。だから私は、会う前から彼から「おばさんになったなぁ」と思われたらイヤだな、と思いつつ、でも、彼だってきっとおじさんに変貌しているんじゃないかなぁと変な期待も持っていました。そして、会った瞬間にお互いが発した言葉、それは、「全然変わってないね!!」でした。
彼は本当に変わっていませんでした。おじさんに変貌しているどころか、むしろ前よりもずっと、頼りになりそうな、男らしくて立派な商社マンに見えました。私の方も、おばさん化していると言われなくて良かった~と、少しホッとしていたんです。
そして、会った翌日に、彼からお礼のメールが来ました。そのメールをそのまま引用すると、こんなことが書いてあったのです。「昨日、久しぶりに会った瞬間、変わらないね、と言いましたが、本当は 10年前よりもずっとずっと綺麗になっているなぁと思いました。ホントだよ。前を向いて自分自身で道を切り開いて生きている人のオーラが綺麗にさせているのだと確信しています。これからも地に足つけて、色々なことを自分で見極めて、じっくりと構えてください。魅力的な人には幸せがたくさん舞い込んで来るからね」と。
多少のリップサービスが入っていることは差し引いても、私はこのメールがとっても嬉しかったのです。彼のメールで私は気分が舞い上がり、大喜びして、つい中学時代の親友に自慢してしまったわけです。
ところで、日本人って、謙遜することを美徳と考える文化を持っているので、自分が褒められても、否定的な言葉で返しがちですよね。「そんなことはないです。」とか「いいえ、とんでもないです。」といった言葉で。でも、私は、自分が褒められたら、もっと肯定的な言葉で返すべきだと思うんです。そのほうが、褒められたことがプラスのパワーに変わって、さらに自分を良い方向へと向けてくれるんじゃないかなぁと思うのです。
もちろん、時と場所をわきまえて謙遜すべき場では謙遜すべきだと思います。でも、そうではなく、友達やごく親しい人などから褒められた場合などは、謙遜はいらないと思うのです。
そのような場合、こんな言葉を返したらいいんじゃないかなぁと思うのです。
たとえば、「ありがとう!とても嬉しいです。」とか、「○○さんにそう言ってもらえると、本当に嬉しいです。どうもありがとう。」というように。
また、日本人男性は、シャイな人が多いからか、あまり面と向かって女性を褒めませんよね。私は、日本人男性が、女性に対して面と向かって「綺麗だね」とか「素敵だね」と言って褒めているのを、ほとんど見たことがありません。
でも、これって、全般的に日本人男性がシャイだからというだけではなく、言われた女性の反応にも原因があるんじゃないかと思うんです。女性が男性から「綺麗だね」と褒められたら、素直に「ありがとう!とても嬉しいです。」と嬉しい気持をそのまま表現すれば、褒めた側も言った甲斐があります。そうなると、自然と、また褒めてくれるような気がするんです。
つまり、私のように喜び過ぎて少々図に乗ったとしても、褒められたらその嬉しい気持ちを素直に表現すると、それが良い人間関係を維持する潤滑油にもなると思うのです。
さて、私は、さきほどお話しした 10年ぶりに再会した同期入社の男性のメールに、このように返事をしました。「10年前よりもずっとずっと綺麗になったと言われて、本当に嬉しかったです。どうもありがとう。次回会うときにさらに褒めてもらえるように、内面からも外面からも自分に磨きをかけておきます!」と。
<佐藤 彩子>