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日立製作所、トキコと日立ユニシアオートモティブを10月1…
◆日立製作所、トキコと日立ユニシアオートモティブを10月1日付で吸収合併
ハイブリッド車など、環境対応車の部品開発を大幅に強化。2社は解散へ
<2004年03月26日号掲載記事>
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日立製作所とトキコ、日立ユニシアオートモティブは、オートモティブ システム事業(自動車機器事業)の強化を目的とした合併に合意し、合併覚書を締結したという。
日立グループでは、これまで、日立、トキコ、ユニシアの3社が、それぞれの得意分野を活かしながら、オートモティブシステム事業に取り組んできた。しかし今後、環境対応の問題や、ブレーキ、ステアリング、サスペンションといった走行制御分野でのエレクトロニクス化の進展に向けて、3社の強みをより一体化したオートモティブシステムとしてのソリューションの提供が求められている。そういった状況を踏まえ、ニーズへの迅速な対応、効率的な事業展開、グローバル市場での競争力向上を目指し、今回の合併を決断するに至ったとのことである。
今回の合併のニュースは日立グループ内において自動車機器事業が注力事業と位置付けられたことを受け、現在自動車業界において進展している部品のモジュール化、グローバル調達に対応していこうとするものであり、戦略的には業界トレンドに即したものといえよう。
一般的にこういったM&Aの場合、その過程を計画フェーズ、実行フェーズ、統合フェーズ、評価フェーズといったふうにいくつかのフェーズに分けることができる。実行フェーズは契約書にサインがなされるまでという定義が通常なので、今回のプレスリリースはその中の実行フェーズの終盤に出されたものといえるだろう。
プレスリリースを見ると合併契約書の締結は5月末の予定となっている。今回プレスリリースが完了したことで担当者の中では一区切りついた気持ちもあるかと思われる。しかし、今後、統合フェーズ(実際の合併)という大変な作業が残っており、その意味でまだまだ道半ばと言える。
M&Aというのはその特性上、短期間で且つ秘密裏に物事が進められる。今回のケースも実際の合併期日は10月1日であるので今から約半年の間で様々な合併作業を完了させねばならない。また公式に発表がなされるまではその計画は経営層を含めた限られた人たちのみが認識している状態であり、実際の現場や従業員は予感はしつつも、実際の発表があるまで何もアクションを起こすことはできないのが通常である。
しかし、ここから先の統合フェーズの主役は実際の現場である。合併がもたらす契約書の名義変更といったようなことも含む様々な手続きをこなしながら、合併によるシナジー効果を実現させるべく、業務プロセス、人事制度、情報システムの統合といった作業を推進しなければならない。
これまでの段階で合併後はこうしようという青写真は描けていると思われるが、それを具体化しないといけないのである。そうでなければ計画は絵に描いた餅となってしまう。
近年、この統合フェーズが重要視されており、特に今回の合併のケースのように重複機能を整理しようとする試みがなされるならなおさらである。統合フェーズの出来如何によっては期待していたシナジーを実現できないということにもなりかねないし、場合によっては合併そのものが立ち行かなくなるケースもある。少し、古い話題で恐縮だが、みずほ銀行の情報システム障害もこの統合フェーズがスムーズにいかなかったことにより
引き起こされたと言える。
そしてこの統合フェーズを円滑に進めるために最も重要となってくるのがコミュニケーションである。統合フェーズになって舞台は経営陣の部屋から実際の現場へと移り、関係者の数も相当数増加する。そうした中で誰が何を検討し、リードするのか、既に決定されたことは何なのか等が十分にコミュニケートされる体制で臨む必要がある。勿論体制を引っ張るトップのイニシアチブも重要である。
今回のケースにしても、これから実際の合併期日となる10月1日までの間、担当者は多忙な日々が続くと思うが、無事、合併がなされ、期待していた効果が生み出されることを願いたい。
<秋山 喬>