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南アフリカ日産、ピックアップトラック「Hardbody」を欧州…
◆南アフリカ日産、ピックアップトラック「Hardbody」を欧州などに輸出へ
シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドにも。約20%の増産へ
<2004年02月25日号掲載記事>
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日産は3ヶ年計画「日産180」の一環として、南アフリカ日産で生産するシングルキャブピックピックアップトラックを2005年より欧州、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドの新市場に向けて輸出するという。
この計画により南ア日産のピックアップトラックの生産台数は約20%増加するとのことである。
これはいわゆる増産のニュースであるが、昨今の一層のグローバル化の進展により、自動車メーカーは今や恒常的に世界レベルで需要と供給のバランスを取っていく時代となった。
人間が住んでいる限りにおいて、全ての国は自動車のマーケットとなりうるわけだが、その全てが生産拠点として適しているわけではなく、このニュースのシンガポール、ニュージーランドのように国土が小さく、自動車産業が政府の産業育成政策の対象になっていないような場合は国内で使用される自動車のほぼ大半を輸入に頼ることとなる。その場合、自動車メーカーはその分を他のどの国で生産するかを思案する必要が出てくる。
また、前述したようなケースに加えて、戦略的に生産をある拠点に集約しようとした場合などは、生産集約により低減されるコストに比して、マーケットまでの輸送費はどの程度か、輸入の際の関税はどの程度か、増産の際の部品調達はスムーズに行われるか等の事項を考慮しなければならない。
加えて自動車メーカーの減産、増産の決定はそのメーカーのみならず様々な関係者に影響を及ぼすことを忘れてはならない。部品を納入するサプライヤーや工場周辺の地域コミュニティ、更にはその国の産業自体にさえ影響を及ぼす場合もある。
ニュースではしばしば自動車メーカーの各国での減産、増産が報じられているが、それらは全て世界レベルで需要と供給の調整、その他先に述べたような様々な事項が考慮された結果であるということがいえるだろう。
<秋山 喬>