AYAの徒然草(78)  『気持ちを「形」にすることの大切さ』

仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。

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第78回 『気持ちを「形」にすることの大切さ』

私が少しでも元気がないと、こんなふうに励ましてくれる友達がいます。「彩ちゃん、最近元気がないからおみやげ買ってきたよ。彩ちゃん、このお店のタルト、好きだったよね?お店の近くまで行くついでがあったから。」と、ついでとは言え、わざわざ足を運んで私の好物を買ってきてくれたのです。当然私は、その友達の思いやりとタルトの美味しさで、一気に元気になりました。

また違う日に、全く別の友達からもこんな励ましがありました。山梨に住んでいる友達とメールのやりとりをしていたときのことです。その友達は、私のメールの行間から、私が疲れていると察したのか、突然、メールの話題を変えて、「彩ちゃん、久々に家に遊びに来ない?どこでも連れて行ってあげるよ。」と言うのです。山梨の温泉にでも浸かって疲れを癒してあげようという彼女の心配りからのお誘いだということを、私はなんとなく気づいていました。私は「行く行く!」の二つ返事で、翌週末には山梨に遊びに行きました。
気の置けない友達と、温泉に浸かって、マッサージをして、美味しいものを食べて、買い物をして、紅葉を楽しんで、富士山を見ながら話しをして・・・と過ごしていれば、誰だって癒されますよね。当然のことながら、私は山梨の友達の好意のおかげで、東京に戻るころにはすっかり気分爽快になっていました。

また別の友達の話もあります。ある友達から遊びのお誘いメールが来たんですが、ちょっと精神的に余裕がなくて事情を説明し、めずらしくお断りしたんです。そうしたら、その友達から、「彩ちゃん、がんばって!」というメッセージと共に、音楽が添付されてメールが届いたんです。その音楽を聴いてみると、なんと「Don’t Worry, Be Happy」ですよ。(聴けば誰もが、あっ、あの曲ね!とわかる有名な曲です。)なんだかじわ~っと涙が出てきそうになりました。
私は、なにかものすごくショックなことがあって誰が見ても落ち込んでいるというわけではありませんでした。誰にでもよくあるように、日常のほんの些細なことに疲れていたり、イライラしていたり、また、なにかちょっとした心配ごとがあっただけです。私の友達たちは、そのような私の小さな変化に気づいてくれて、こんなふうに励ましてくれるんです。私は本当に良い友達をたくさん持ち恵まれているなぁと、つくづく思います。

ところで、先日、こんなこともありました。さきほどの友達たちとはまた別の友達と食事をしたときのことです。会うなりいきなり彼女から「かすみそう」の花束をもらったんです。「かすみそう」ってみなさんご存じですか?それだけで花束にするのは珍しく、花束の添え物によく使われる花なんです。豪華な花の引き立て役のような花で、白くて小ぶりでとてもかわいらしいく、上品で清楚なイメージの花です。
お花をもらっても嬉しくない、なんていう女性はいませんよね。当然、私もとても嬉しいものでした。でも、なんで彼女は私にかすみそうの花束をくれるのか、理由がわからなかったのです。べつにその日が私の誕生日だったわけではないですし、なにかほかの特別な日だったわけでもありません。そして、彼女は私の顔を見て、「今は理由を聞かないで。家に帰ってからかすみそうの花言葉を調べてみてよ。」と言うのです。
そんなにじらされても困ります。私はもう、気になって気になって仕方がなくて、食事の最中もうわのそらになる瞬間が何度もあったくらいでした。私は家に帰って真っ先にネットでかすみそうの花言葉を調べてみました。かすみそうの花言葉は、「深い思いやり」「清らかな心」「感謝」「親切」「感激」などでした。しかし、「えー?私、なにか特別に感謝されることしたっけ???」と、思い当たることがなかったのです。

でも、そう言われてみると・・・、ひとつだけ思い当たることがあったのです。その 2~ 3 ヶ月前、夜中の 2時ぐらいに彼女から電話がかかってきて、たまたま起きていた私は、彼女と 1時間以上、長電話をしたことがありました。夜中に友達から電話がかかってくることはよくありますが、さすがに深夜 2時から長電話が始まることは稀です。でもそのとき、私はたまたま眠くなかったし、それに、なんとなく彼女の声が沈んでいたような気がしたから、彼女の話をずっと聞いてあげたんです。
彼女曰く、あのとき、落ち込んでいる自分の話をなにも言わずに聞いてくれていることがとても嬉しかったそうなんです。今、誰かにこの話を聞いてもらわないと胸が張り裂けそうだ!と思っていても、あのとき黙って話を聞いてくれる人が誰もいなかった、と言うのです。だから、私への感謝の気持ちは言葉では表現できないほどで、今度私に会うときには花言葉の演出を加えて花を贈ろうと考えていた、と言うのです。

このとき、つくづく、人から感謝されるってとても気分が良いなぁと思いました。普段、いろんな人から言葉で「ありがとう」と言われることはあっても、あのような粋な演出付きの「ありがとう」を受けたのは初めてかもしれません。だから、彼女のプレゼントの真意がわかった瞬間、嬉しさと感動で涙が出てきてしまいました。
ところで、以前、私のコラムの中でもお話ししたことがある通り、「感謝の気持ち」って意外と表情に出にくい感情なんですよね。

(以下 URL ご参照)
AYAの徒然草(1)   『感謝の気持ち』

だから、感謝の気持ちを「言葉」で表現することはとても大切なことなんです。でも、言葉では表現できないほど感謝の気持ちが深いものだったり、また、いざ面と向かって「ありがとう」と言うのは恥ずかしい、という状況も理解できます。そんなときはやっぱり「プレゼント」って効果があるんですね。今さらながら実感しました。しかも、彼女のように感謝の気持ちを粋な「演出付き」で表現することは、相手に感動も一緒にもたらす上級の伝達方法ですよね。
私も、私を励ましてくれた 3 人の友達たちに、「ありがとう」ってちゃんと言わないといけないなぁと少し反省しています。言ったような言わないような・・・記憶が定かではないからです。仲が良すぎると、そういうところがいい加減になる、というか馴れ合いになってしまっているような気がしてきました。
「親しき仲にも礼儀あり」と言うように、仲の良い友達にだってちゃんと言葉や形で感謝の気持ちを伝えないといけませんよね。いや、仲の良い友達だからこそ、ちゃんと伝えないといけないんですよね。また、これは友達じゃなくて、家族や恋人にも同じことが言えると思います。
こんな出来事がきっかけとなり、私は今年の「クリスマスプレゼント」を考えることがだんだん楽しくなってきました。誰に贈るクリスマスプレゼントかって???それはナイショです!!

<佐藤 彩子>