アップルとVTホールディングスが業務・資本提携へ、中古…

◆アップルとVTホールディングスが業務・資本提携へ、中古車の輸出事業など

<2004年7月7日号掲載記事>
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中古車販売大手のアップルインターナショナルは、ホンダ系有力ディーラーのVTホールディングス(VTHD)と中古車の売買・輸出事業、中古車買い取り事業でFC契約を結ぶという業務、資本提携を行うと公表した。

アップルインターナショナルの事業の概要は次の通りである。
1)中古車輸出事業(主にディーラーから高年式中古車を仕入れ東南アジア向けに輸出)
2)買い取りFCチェーンのアップルオートネットワーク(旧日本自動車流通ネットワーク(株)「アップル」)本部運営及び買い取り店舗運営
3)中古車買い取り店(カーコンサルタントメイプル)を山梨県で2店舗運営業務、資本提携先であるVTホールディングスの事業概要は次の通り。
1)新車ディーラー事業(ホンダベルノ東海、ホンダプリモ東海、フォードライフ中部)2)レンタカー事業(オリックスレンタカー名阪)
3)投資事業(ブイティキャピタル)
4)中古車輸出事業(トラスト)

中古車輸出という点では、アップルインターナショナルは業界最大手であり、VTHDの中古車輸出子会社トラストは株式公開が視野に入っている業界の大手企業の一角である。

この両社の業務・資本提携の内容は、8月上旬にその詳細が発表されることになっているが、現段階で明らかにされていることは次の通りである。

1)アップルインターナショナルとして、東南アジアや中国で需要が拡大している日本製中古車の仕入先確保をすること(VTHDを通じて安定的仕入れを行う)。
2)VTHDとして中古車買い取り”アップル”のFC契約を結び複数店舗を出店することで、買い取り車両在庫を確保し、傘下のトラストを経由して中古車輸出台数の拡大を目指すこと。

現在、明らかにされていることは、上記の2点であるが、筆者は今回の両社の業務、資本提携を次のように理解している。

<輸出事業での棲み分け>
アップルインターナショナルが得意とする東南アジア地域、VTHDのアフリカ、中南米地域と得意とする地域は重複が少ない。またアップルインターナショナルが主に高年式中古車、VTHDの輸出子会社であるトラストが中・低年式車を主体とするなど棲み分けを行うこと。

<業界再編の目論見>
従来は中古車買い取りは高年式車を中心に行われてきた。しかし、自動車の使用年数が年々伸長するに従い、年式の割には品質レベルの高い日本製中低年式車の海外需要が旺盛となってきている。また2005年に自動車リサイクル施行とともに、これまで自動車解体を担ってきた事業者の多くが篩いにかけられ、これまで以上に低年式車(使用済み自動車含む)の仕入が容易になると見込まれる。そこでアップルインターナショナルでは、子会社であるアップルオートネットワークのFC店舗を拡大し、この輸出向け低年式中古車の取扱いを拡大させ、自動車流通の最終事業分野である中古車輸出事業を起点に川下から川上に向けての業界再編が可能ではと認識しているのではないか。

具体的には、川下からの自動車流通の変革を促進するために、国内で発生するこれらの使用済み自動車を”買い取る”=付加価値商品化するチェーンとして、アップルオートネットワークを位置付けるのでないかと思われる。

ちなみに、今回の業務、資本提携にあたりアップルインターナショナルの7月7日付のプレスリリースでこのように述べている。「今回の業務、資本提携は自動車流通業界の変革を促進するものであり、当社傘下のアップルFC本部であるアップルオートネットワークの活用と組み込みも視野にいれた提携である」

さらに「あるいは中古車解体事業の許可制による廃棄車両の消化不足は、中古車両の廃棄から急速に海外向け中古車輸出へと流れを転換させていくものと考えられる」となっている。

このアップルインターナショナルが唱える川下からの業界再編は一気呵成に進むとは想定し難いものの、中古車輸出需要の拡大につれてある程度の影響を業界に及ぼすことになるかもしれない。

<寺澤 寧史>