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オークネット、輸出需要がある多走行・低年式車のオーク…
◆オークネット、輸出需要がある多走行・低年式車のオークション出品を強化
競売の専門コーナーを従来の隔週から週1回に、出品もほぼ倍増の年50万台に
<2004年4月16日掲載>
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衛星通信を利用したTVAAの大手企業であるオークネットが、業界でいうところのすそ物=過走行・低年式車取り扱いを本格化させるという。
オークネットは、オートオークション業界の中にあって、いち早く衛星通信を利用し在宅参加型の画像オークションを立ち上げた企業として知られている。
オークネットが画像オークションシステムで市場参入した後、現車会場の有力企業であるJAA、USSなどが同様の方式で追随したが、
1)画像オークションで売買の対象となった車の年式・価格帯は高年式・高価格帯の車両であり、現車オークション会場で売買される車との間でセグメントが明確に分かれていたこと。
2)1990年代前半までの新車販売は、ほほ右肩上がりで拡大を続け、乗り換え期間も比較的短期間であったため、市場に放出される「高年式車」が多かったこと。
3)先進インフラを用い「オークネット基準」といわれる車両評価基準を厳格に固守してきたことが、市場環境に適合していたこと
といった理由から、当初はオークネットの競争優位性を突き崩すことは出来なかった。
しかし、最近10年間の日本の新車販売台数は、600万台前後で推移しており、加えて乗用車の平均使用年数も伸長の一途を辿っており、2003年では、ついに6年を超えるまでになっている。
また、画像と評点に対する(業者間での)一般的な認知が向上したことにより、昔は「現物を見ないで画像で買うのであれば、高年式車だ」という認識だったところが、今では「低年式でも、評点と価格で大体こんな品質のものだろう」という認識が醸成され、低年式車も画像で売れはじめている。
このような状況下、現車会場に集まる車両を画像化して各会場間で放映したり、会員端末から競らせたりといった、「現車会場+画像」というハイブリッドモデルを前述のUSSなどが導入したことにより、衛星通信AAの一本足打法に特化したオークネットは、各種ネットワークを現車オークションとの間で構築しつつあるものの、単体では次第に市場の趨勢を捉えきれずに、競争優位性を失うようになっている。
よって、今回の輸出用低年式車両の強化策は、競合に押されつつあるものの自ら強みを有する高年式車両の出品は維持しつつ、「低年式・低価格・多走行車両」をも取り込むという両面戦争に突入することを意味する。
オークション市場そのものの出品規模は、拡大につぐ拡大を続け2002年に600万台市場となり、2003年もその勢いは続いているが、この内、輸出向けに取引されている台数を財務省の通関実績などのデータから推測するに、おおよそ70-80万台程度と考えられる。
各オークション会場では、
1)オークション総市場600万台の12%~13%(70~80万台)が輸出に向かう玉であること
2)新車販売の低迷と平均使用年数の伸長により、オークション市場に放出される玉の内訳として低年式車両の増加が予想されること(輸出に適合する車両はどちらかというと低年式の低価格車両が多い)
という理由から、リサイクルコーナー、売り切りコーナーなどの名称で輸出向け専門コーナーを設けて、この市場の取り込みに躍起になっており、オークネットでも、2003年から輸出向けに低年式・過走行車専門コーナーを開設し試験導入・予想移以上にニーズが高いことで今年から隔週開催で行っているという。
そもそも顧客(業者)から高年式な玉の流通する市場という認知を得ていて、事実その通りの出品構成となっているオークネットが、同時並行で低年式車をどのように取り込んでいくのか。
その道は思ったより険しいのではないだろうか。
<寺澤 寧史>