中国ビジネスの達人(9)『銀行と如何に付き合うか。』

今や自動車業界にとって避けて通れないテーマの一つである中国進出。住商アビーム自動車総研のアドバイザーであり、過去 15年の中国駐在・ビジネス経験を経て現在も浙江省杭州にある日産ディーゼルの製造会社に出向中の三木辰也が、中国進出に携わる方々に対して中国ビジネスのヒントを伝授するコーナーです。

第9回 『銀行と如何に付き合うか。』
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如何なる企業も銀行と取引きを行わない企業は殆どありません。中国に進出した日系企業も場所によっては日系の銀行がないとか、あっても中国政府の規制で十分なサービスを受けれず、中国地場の銀行と取引きをする必要がある日系企業は多いと考えます。

では中国地場銀行との取引きは特殊な対応が必要なのでしょうか?

預金の預入れや引出し、国内送金等の一般的な取引きでは日本での銀行との取引き同様、簡単に取引きが出来ます。

一方、国外送金は厳しく管理されており、必要書類が送金内容により細かく要求されております。

昨今の金融引締めにより、銀行の対応もかなり手堅くなっており、日本以上に中国政府の金融業界への規制は強く、政策如何で銀行自体の対応も大きく変化することから、政府の政策が企業活動に大きく影響して来ます。

この部分だけを取ると中国の銀行もお役所的で非常に敷居が高いところのように感じることもありますが、法人営業の担当者には非常に懇切丁寧な人も多く、銀行の人でありながら熱意を感じ、銀行員というイメージとは多少異なる人も少なくありません。

逆に言うと担当者が替わるとガラッと対応が変わることもあり得るので、この点を十分に考慮し、メインバンクは決めても、取引きを一行のみに絞るのはリスクが高くなりますので、注意が必要です。

銀行や支店によって為替業務や L/C 開設業務の業務内容や対応能力にバラツキがあり、同じ銀行でも支店が違うと許可されている業務内容が異なり、できることとできないことがあり、また、担当者が知らない為に本来できる業務も対応しないと言ったケースもあります。

新しく取引きを開始する場合、期待した業務が出来ない場合もあるので、1-2 回テストとして取引きをして見て、その銀行のパフォーマンスを確認することをお勧めします。

中国でも銀行間の競争は激しくなっており、サービス・対応の良し悪しが顧客が銀行選定時の大きなポイントになっていることを銀行自身も認識しています。その中で日系企業は新たな優良顧客として中国の銀行にとって新規開拓のターゲットになっていますので、サービスや対応の良い銀行を選定して下さい。

<三木 辰也>