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中国ビジネスの達人(11) 『 国内で資金調達するにはどうする…
今や自動車業界にとって避けて通れないテーマの一つである中国進出。住商アビーム自動車総研のアドバイザーであり、過去 15年の中国駐在・ビジネス経験を経て現在も浙江省杭州にある日産ディーゼルの製造会社に出向中の三木辰也が、中国進出に携わる方々に対して中国ビジネスのヒントを伝授するコーナーです。
第11回 『 国内で資金調達するにはどうする?』
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資産があれば、それを担保に銀行からお金を借り入れるのは万国共通ですが、当然、中国でも最も一般的な資金調達方法です。
建屋や土地使用権を担保設定することが多いわけですが、これは資産評価公司の評価額に基づき、銀行からの借り入れ枠が決まることになりますので、資産評価公司の評価が重要になります。
銀行から資産評価公司を指定して来ない場合は自社に有利な評価を出してくれる様な資産評価公司を選定することが有効です。
また、親会社からの L/G (担保保証)でも資金貸与に応じる銀行もありますので、これは銀行と個別に交渉が必要になります。
日本とは異なり、企業間での資金の貸し借りが禁じられており、直接他企業(金融業以外)から資金の調達は出来ませんが、銀行を経由して回避する方法もあります。
例えば、中国にある系列会社(A 公司)では運転資金に余裕があり、中国にある同じ系列会社(B 公司)では逆に運転資金が逼迫している場合、銀行に仲立ちをしてもらい、銀行経由で B 公司は A 公司より資金調達が可能となります。
それでは中国に同じ系列会社がない、または、そこも逼迫しており、融通が利かない、または、全ての資産は担保設定されており、新たな資金調達に差し出す担保がない場合や日本の親会社が L/G を出しづらい状況の場合はどうしたら良いのでしょう。
会社の経営状況が良い場合や将来性が見込める場合は銀行から無担保での資金借り入れの可能性があります。
ただし、中国も銀行の不良債権問題が表面化しており、人民銀行(中央銀行)の指導により、その総枠は厳しく規制されていますので、難易度は相当高いようです。
また、新たに出資者を募り、資金を調達する手もありますが、株主の構成や比率が変わり、経営方針や経営理念が変わりかねないとの問題もあり、この点は慎重な対応が必要になります。
資金問題は経営の根幹ですので、購買計画と販売計画をきちんと立てて、日頃より効率的な資金の運用を心掛けつつ、いざと言う時の為に、対策を考えておくことが動きの早い中国市場で会社を正常に運営するポイントです。
<三木 辰也>