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AYAの徒然草(75) 『変身願望』
仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。
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第 75 回 『変身願望』
先日、新聞でちょっとおもしろい記事をみつけました。脳科学者の研究によると、女性は、自分の素顔とお化粧をした顔を見たときの脳の反応に違いがあるらしいのです。女性は、自分の顔でもお化粧をした顔は他人の顔と認識して客観的に見ているんだそうです。
確かに、バッチリお化粧をした後はなんとなく気が引き締まるというか、気分が変わるのは事実です。だから、朝、会社に行く前のお化粧は、戦場(?)に出る前の身支度の一つとして、念入りに(でも時間は掛けずに)することを心掛けています。
しかし、私は、週末などオフの日には、仕事のときとは全く違ったお化粧をするように心掛けています。服装に合わせてカジュアルな感じに、というかできるだけ素顔に近いお化粧を意識し、気分を和らげています。だって、お休みの日に鏡を見る度に、バッチリメイクの自分を見てもなんか気分は癒されませんからね。
それに、私は、週末に外出するときには、会社に行くときには身につけないおしゃれアイテムが 2 つ、大活躍しています。私はそのアイテムで、いつもの自分との「変化」を楽しんでいるんです。その 2 つのアイテムとは、「サングラス」と「帽子」です。両方身につけてしまうと、なんか悪いことをして変装して逃げ回っている人のように見えがちですが、それでも、両方身につけることもよくあるんです。
サングラスや帽子を身につけるようになったきっかけは、一年中、紫外線になるべくあたりたくないからという実用的な目的がちゃんとあったのです。でも、最近では、実用性は二の次で、どちらもおしゃれのアイテムとしてすっかり楽しんでいます。洋服に合わせていろんな色や形のものを買い揃え、今では私の部屋にはサングラスも帽子もまるでお店のように陳列するほどたくさんあります。見ているだけでも楽しいくらいです。
こうやって、私のように女性は、お化粧や身につけるアイテムで気分の変化はもちろんのこと、自分のイメージを変化させて容易に「変身」ができます。でも、男性の場合は女性と違って同じようなことはなかなかできませんよね。髪型を変えるか髭を伸ばすくらいでしょうか?
心理学的に、なにかの欲求が満たされないと、それによって生じたストレスから逃避するために「いつもの自分とは違う自分に変身したい」という願望を持つことは自然なことだそうです。つまり、「変身願望」は、誰もが潜在的に持っている欲求ということです。
わかりやすい例だとこんな例があります。「女性は失恋をすると髪をバッサリ切る」とよく言いますよね。女性がバッサリ髪を切るとまるで別人のようになります。そんな「失恋をするとイメージを変えたくなる」という心理には、失恋したショックから逃避するために働いていた自然な欲求だったんだなと、納得がいきます。
また、ちょっと屈折した現象かもしれませんが、一部の男性が女装したいという願望を持っていたり、コスプレに興味を持つことなどの原点は、同様の欲求から引き起こされているのかもしれませんね。
でも、私は、本当の変身は、私のようにおしゃれアイテムを増やし遊び心で変身してみるような「外見」の変身ではなく、より豊かな人間性の育成や様々な能力の向上といった「中身」の変身だと思うのです。外見を見事に変身させて取り繕ったところで、中身が伴わなければ、いずれはそのメッキは簡単に剥がれてしまうものですから。
それに、なにか大きなことをやり遂げたり、また、困難を乗り越えた人が一回りも二回りも大きく成長している姿がやっぱり一番見事な変身だなぁと思うのです。そういう一朝一夕では叶わない変身が、人間の心の奥深いところにある欲求を満たし、その人の力強い原動力になっていくんだろうなと思います。
さて、みなさんにはどんな変身願望がありますか?外見の変身でしょうか?それとも中身の変身でしょうか?
<佐藤 彩子>