中国フラッシュニュース(76)『「新消費税」による自動車産業への影響』

アップダウンを繰り返しながらも、今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。
住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

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第76回 『「新消費税」による自動車産業への影響』

2 週間前に配信した第 74 回でも取り上げた自動車に関する「新消費税」が今月 1日から実施となった。今回は、この「新消費税」が自動車産業にもたらす影響について、様々な専門家の予測をまとめて紹介する。

1.民族系メーカー再編の加速

今回の「新消費税」の影響を真っ向から受けるのは、SUV を主力製品として生産する民族系自動車メーカーであると専門家は指摘している。

新消費税は 2~ 15% のコスト増加要因となるが、本来これらのメーカーは収益力が弱く、コスト増加も大きな負担となるため、多くの企業が脱落し、新たな再編にもつながると見られている。

2.高級車の利益率低下

昨年以降、GM、トヨタ、アウディ等、多くの外資系メーカーが大型高級車(排気量 3.0~ 4.0L クラス)を投入してきた。「新消費税」の税率は、排気量が大きな車ほど税率が高くなっており、改正に伴う引き上げ幅も大きく、車体価格自体も高いので、価格に与える影響も大きい。一方、各メーカーとしては厳しい競争環境の中で安易に消費者に転嫁するわけにもいかず、利益率も低下すると見られている。

3.業界全体の利益率低下

今年に入り、自動車の販売は好調を維持している。第一四半期は昨年同期より、販売台数が 50 %増加したと言われている。しかし、4月以降、燃料価格の上昇だけでなく、消費税の引き上げという新たな要因も加わり、販売台数の伸び率も徐々に低下していくと見られている。

2005年の業界平均利益率は 5 %程度まで低下している。こうした状況を踏まえると、今年もほとんど改善されない見通しである。

<張 浩群>