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中国フラッシュニュース(71)『「中国総代理」がもたらす影響』
アップダウンを繰り返しながらも、今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。
住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。
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第71回『「中国総代理」がもたらす影響』
最近、ある日系自動車メーカーの中国投資公司(ホールディングカンパニー)に、「中国総代理」という新しい機能が追加された。このニュースは、日本では、さほど大きく取り上げられていないが、中国の自動車業界では、今後、中国の自動車市場に極めて重大な影響をもたらすものと真剣に受け止められている。
「中国総代理」というのは、2005年の「汽車ブランド販売管理実施弁法」で生まれた新しい概念で、輸入完成車の総輸入代理店、インポータのことである。従来、「中国総代理」の外資規制は明確ではなかったが、「中国投資公司」に「中国総代理」機能を持つことができるようになったということは、100 %外資のインポータの設立が認められたことを意味する。
中国国内にはメーカーの販売公司(ディストリビュータ)が存在するが、これは当該メーカーが国内生産した車種しか取り扱えない上、2004年の「汽車産業発展政策」によりメーカーに対する外資の出資比率は最大 50 %までに制約されている。
つまり、外資にとっては国産車の販売に関しては 50 %までしか口出しできないが、輸入車に関する限り 100 %のフリーハンドを得られることになった、ということである。
中国のアナリストは、今後、外国自動車メーカーが相次ぎ「中国総代理」を設けることにより以下の影響があるとみている。
1.外国自動車メーカーの発言力が更に強まる
外国自動車メーカーが輸入車販売の実権を握ったことにより、生産合弁企業における発言力が更に強まる。特に高級車に関しては、輸入販売に力を入れ、生産合弁企業への技術移転や新商品開発に消極的になることが考えられる。
2.販売網の再編が加速する
従来の中国系販売企業は、販売店舗の整備に大規模投資を行ってきたが、今後外国メーカーの自動車を販売するためには、「中国総代理」の 2 次的あるいは 3 次的な代理店となるか、資本的な意味で「中国総代理」の傘下に入るか、という選択肢しかなくなる。中国系販売企業の影響力が大幅に低減するのである。また、「中国総代理」は、将来的に既存の生産合弁企業の販売公司に影響力を強めることも考えられる。
3.価格操作による関税回避
外国自動車メーカーと「中国総代理」は、親会社と子会社という関係であり、輸入車販売は企業グループ内での取引となる。そのため従来の中国系販売会社との取引と比較すると価格操作が行い易い。例えば、中国の現在の関税率で輸入車の申請価格を 1 万ドル安くすれば、関税・ VAT が 6,000 ドルほど安くなる仕組みとなっている。このようなことを実際に行うとは想定し難いが、理論的には可能ということで心配するアナリストもいるようである。
<張 浩群>