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中国フラッシュニュース(69)『2006年中国のエンジンメーカーの動向』
アップダウンを繰り返しながらも、今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。
住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。
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第69回『2006年中国のエンジンメーカーの動向』
2006年、中国のエンジンメーカーを取り巻く環境が変化しており、幾つかの新たな課題に直面している。
1)EURO 3への対応
2005年 12月 30日、北京市は、全国に先駆けて 排出ガス規制 EURO 3を実施し始めた。具体的には、EURO 3で定める基準値を達成していない自動車は北京市内で販売禁止となった。また、2006年内には、上海、広州、成都などの都市においても EURO 3を実施する見通しである。更に、2007年からは、中国全土で EURO 3を実施する予定となっている。
大手完成車メーカー、特に外資との合弁メーカーは、そのほとんどがエンジンを内製しており、既に EURO 3をクリアしている。
しかし、中国の民族系完成車メーカーにエンジンを供給している中国のエンジンメーカーにとっては、厳しい状況となっている。多くのエンジンメーカーは、R&D が遅れており、開発段階では EURO 3を達成していても製品化した時には品質を保証できるレベルに達していない、といった課題を抱えているからである。EURO 3の全国導入が迫ってくる中で、これらのエンジンメーカーにとっては、EURO 3対応エンジンの開発・生産が喫緊の課題となっている。
2)小型エンジン
2006年初め、国家発展改革員会を始めとする関連官庁は、小型車を奨励する政策を発表した。
中国でいう「小型車」は、排気量が 1.4L 以下、最高出力が 45KW/L 以上 と定義されている。しかし、中国のエンジンメーカーにとって、高性能の小型エンジンの開発は最も苦手とする分野である。EURO 3と同様に R&D の遅れが大きな壁となっており、結果的に多くの顧客を失いかねない状況となっている。
3)収益率の低下
中国内燃機工業協会の集計によると、2005年の中国のエンジンメーカーの 収益は、2004年より 21 %も減少している。これらのエンジンメーカーは、原材料の高騰と自動車メーカーからの厳しい原価低減要請という二重苦に苦しめられている状況である。2006年もこの傾向が続くと予測される。
4)輸出の増加
2006年、中国のエンジンメーカーにとって、明るい見通しとしてあげられるのは、エンジンの輸出量が増加していることである。国内大手の玉林ディーゼルは 2005年に 10,000台超を輸出したほか、朝陽ディーゼルなど他の大手も積極的に輸出を強化している。
加え、民族メーカーの完成車輸出が好調なことも、エンジンメーカーの輸出量を引き上げる後押しとなるだろう。
<張 浩群>