中国フラッシュニュース(66) 『中国の自動車デザイン市場』

アップダウンを繰り返しながらも、今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。

住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

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第66回『中国の自動車デザイン市場』

現在、Magna Steyr、Giugiaro、IDEA、Lotus、Pininfarina 等数多くの独立系グローバルデザイン・エンジニアリング会社が、中国・上海に進出している。彼らの顧客は、奇瑞、長城、哈飛、長豊など多くの民族系自動車メーカーである。

これらの独立系デザイン会社は、民族系自動車メーカーに対して、車両デザインに加え、人材育成のプログラムなど様々なサービスを提供しており、一部のメーカーとは長期契約を結んでいる。また、独立系デザイン会社の中国進出に追随して、Alias などのソフトウェアメーカーも中国進出を始めている。

中国の自動車デザイン市場は急速に拡大している。その要因は「コスト」と「知的財産権」にある。民族系自動車メーカーは海外自動車メーカーから新しい車種を導入する際、高額の費用とロイヤルティを支払うにも関わらず、知的財産権が得られないことが多い。一方、独立系デザイン会社と協業する場合、知的財産権を得られることに加え、コストも相対的に安く、自社人材の育成にも役に立つ。彼らからみると「一石三鳥」の効果がある。

こうしたニーズに対応し、デザイン会社が提供するサービスも、デザインだけではなく、ボディ、シャシー、電気系統など領域を拡大させている。最近では、自動車デザイン市場の競争も激しくなっており、メーカー、車種にもよるが、1 車種あたり、だいたい 250 万から 400 万ドル程度が相場となっているようである。この分野でも急速に国際化が進んでいる。

<張 浩群>