中国フラッシュニュース(33)『高級車市場も戦国時代に突入

アップダウンを繰り返しながらも、今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。

住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

第33回『高級車市場も戦国時代に突入』

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3月 21日、トヨタの(中国)国産のクラウンが正式に発売となった。中国自動車業界における一般的な見方として、クラウンはアウディの A6 をライバル視しており、中国の高級車市場も、本格的な戦国時代に突入したといえる。

一般的に、中国では 30 万元以上の車が「高級車」と分類されており、年間販売台数は、15 万台程度で安定している。高級車の価格を平均 40 万元で計算すると、その市場規模は約 600 億元と言われている。

中国の高級車市場において、突出的に先行していたのは、90年代から現地生産を続けているアウディである。これに、BMW、ベンツの輸入車も加わり、一時まで中国の高級車市場はドイツ車に独占されていた。大幅に先行するドイツ勢に次ぐ勢力は米国勢である。GMはグループ最高級ブランドであるキャデラックの新規投入に加え、これまで展開してきたビュイックブランドにも新モデルを追加する予定である。

一方、日本勢では、昨年日産が投入したティアナに続き、今回トヨタがクラウンを投入したところであり、これからの健闘が期待される。

ところで、高級車市場を争う各自動車メーカーにとって、今後以下 2 つの大きな課題への対応が迫られている。

1.自動車部品輸入に関する政策
2006年 4月 1日から「完成車特徴を構成する自動車部品輸入管理便法」が施行される予定である。同法では、輸入する部品が、完成車の販売価格の 60%を越える場合、当該部品の関税は、完成車と同率の関税が適用されると規定されている。一般的に、自動車部品の輸入関税は 10 %前後であるが、完成車の輸入関税は 20~ 30 %となっているため、適用とされると、自動車メーカーにとっては、大きな負担となる。

中国で生産されている高級車は、一般的に国産化率が低く、多くの主要部品を輸入に頼っているのが現状である。同法が効力を発揮する 2006年 7月 1日までに、部品の 40 %(金額ベース)以上の国産化を実現させなければ、価格競争上、大きな負担となる可能性が高い。

2.販売網の整備
すでに販売網整備の競争も進んでいる。BMW が 2005年中に 20 の販売拠点を新規整備すると発表したほか、アウディも A4、A6 を中心に、更なる販売網の整備を強化すると明言している。

これらの課題にいち早く対応するメーカーが、市場競争を有利に展開できることは言うまでもない。

<張 浩群>