中国フラッシュニュース(25)『自動車メーカーの業績回復は…

アップダウンを繰り返しながらも、今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。

住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

第25回『自動車メーカーの業績回復は2006年以降?』
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2005年以降の市況について、最近、自動車メーカーや自動車業界の有識者の方々から得た興味深い情報を紹介する。

1.厳しい淘汰の波は続く

中国の自動車市況は、2005年も依然として値下げ傾向が続き、不安定な状況から脱出できず、これに伴い、昨年以上に激しい淘汰の波が訪れる、と多くの自動車業界関係者は見ている。

現在の中国の自動車市場の勢力図を概観すると、その規模によって、以下のグループに分類できる。

1)大手国営自動車メーカー
第一汽車、上海汽車を始めとする大手国営自動車メーカーグループ。現在5、6 社のグループにまとまっている。
これらのメーカーは、それぞれ海外大手自動車メーカーと合弁会社をつくり、「外国車」を生産しており、言わば、海外自動車メーカーの「代理戦争」を行っているような状態である。
これらのメーカーは量産車を中心に手掛けており、激しい競争を繰り広げている。

2)大手民族系自動車メーカー
奇瑞汽車、吉利汽車を始めとする大手民族系メーカーグループ。
これらのメーカーも量産車をターゲットにしている。
ただし、大手国営自動車メーカーよりも歴史が浅く、人的・技術的な集積も乏しいため、海外自動車メーカーから技術・設備を積極的に導入し、規模拡大を図っている。

3)中小自動車メーカー
中国には、多数の中小自動車メーカーが存在する。
これらの中で、更に二つのタイプに分けられる。

一つは、組み立てのみを行うメーカーである。したがって、殆ど人的・技術的な集積がなく、資金力も乏しい。
この数年、自動車ブームに便乗し、小規模ながらある程度の台数を販売してきたが、今後更に厳しくなる自動車市場の競争環境に直面することで、ブランド、技術を持たないこれらのメーカーは、真っ先に淘汰の対象となると見られている。

もう一つは、規模こそ小さいものの、大手メーカーでは対応できない車種、いわゆるニッチ市場を狙うメーカーが数社ある。
これらのメーカーの多くは、20年程度の歴史を持ち、一定の人的・技術的な集積を維持している。
資金力、ブランド力が不足しているため、規模拡大こそ難しいが、地方、特殊分野などの市場に深く浸透しているため、今後も頑強に生き残っていくと見られている。

2.自動車メーカーの業績底打ちは2006年以降か?

現在の中国自動車市場は、需給バランスが崩れており、この厳しい局面は 2006年まで続く見方が多い。
設備稼働率の観点からみると、2002年、乗用車販売台数の伸び率は 56% となり、設備稼働率も 90% を超えた。2003年の乗用車販売台数の伸び率が更に75%まで高まり、設備稼働率も 85%をキープしていた。高い設備稼働率は自動車メーカーに莫大の利益をもたらした。
しかし、2004年以降の設備稼働率は、2004年に 65%、2005年に 53 %、2006年に 51 %と下げ続けると予想されている。自動車メーカー各社にとって、厳しい局面は当面続くと考えられる。

<張 浩群>