中国フラッシュニュース(19)『燃費税の導入』

アップダウンを繰り返しながらも、今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。

住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

第19回『燃費税の導入』
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11月 22日、国務院発展研究センターの陳清泰副主任は、ある会合において、燃料税に関する法案が既に全人代(国会)の審査を通過し、まもなく実施される見通しであると語った。

これに先立ち、10月 28日、「乗用車燃料消費規制」が公表されている。つまり、この 2 つのステップを経て、2009年まで乗用車の燃料消費レベルを現在より平均 15 %を引き下げるということになる。この 2 つの法案・政策の公表の背景には、いずれも中国において急激に悪化し続ける石油事情がある。

2003年、中国は日本を超え、アメリカに次ぐ第二の石油消費国になった。過去 20年間、中国の石油消費は年率 5 %で増え続けている。その最大の成長要因は、自動車による石油消費である。このままのペースで増加し続けると、今後 20年以内にアメリカを超え、世界最大の石油輸入国・消費国になると見られている。

石油消費が増える一方で、北京、上海などの主要都市の多くでは、ディーゼル車、小型車の使用に対し、依然として何らかの規制を実施している現実がある。その意味でも、上記 2 つの法案は、これらの地方都市政策に対して強く修正を促す目的もある。

また、この 2 つの法案は、各自動車メーカーにも大きなインパクトを与えるであろうが、その内容は、各社で事情が異なると考えている。トヨタ、フォード、PSA 等は、元々燃費のよい車種を中国に投入しているため、新しい法案・政策が、これらのメーカーに有利に働くであろうと見られている。一方、大型乗用車にも注力している GM 等においては、燃費が良くない車種での対応のために、高額な開発コストの投入を強いられると見られている。

いずれにしても、この 2 つの政策・法案が、中国自動車市場の勢力図にも大きな影響を与えることは間違いないだろう。

<張 浩群>