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中国の自動車ディーラー、アフターサービス業に注目
自動車市場の売上は、メーカー43%、サービス12%、部品37%、小売8%
<2004年08月10日号掲載記事>
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この記事は、
・中国での7月の自動車販売、主要32車種のうち、18車種で前月比マイナスに
・中国での7月の自動車販売台数、3カ月ぶり前月比プラスに
・中国の2004年1~6月自動車市場、10万元以下のSUV販売が大幅に落ち込む
等、「中国の新車販売のペースダウン」に関する記事が最近頓に増えている中での中国自工会の名誉会長による発言である。
記事はアフターサービスのみならずアフターマーケット全般について言及しているが、「新車販売が少し落ち込んだタイミング」での発言という意味では読者としては若干斜に構えて受け取りがちではないかと思う。しかし、中期的には間違いなく新車販売領域よりも、所謂アフターマーケットのほうが市場規模が大きくなるのは間違い無い。
例えば、国内の自動車関連産業の総市場を、弊社では凡そ 100 兆円と試算している。これは実に国内総生産(GDP) 500 兆円に対して、20 %を占め、単品商品及びその関連品としては、GDP 比で最大のシェアを占めると言える。また、日本国の全就業人口 6,480 万人のうち、自動車関連就業人口は実に 11.2 %の726 万人と、大きな役割を果たしている(出典:日刊自動車新聞社・日本自動車会議所共著、自動車年鑑 2000)。
しかし、自動車関連産業 100 兆円の内訳を見ると、以下のようなことが分かる。
・100 兆円のうち自動車製造業生産額は 40 兆円(自動車メーカーの合計売上高は 35 兆円)と 4 割を占めるものの、残りの 60 兆円=6 割は各種付帯サービス(例、金融、ガソリンなど)、つまりアフターマーケットが占める。・自動車関連就業人口の内、自動車製造部門の就業人口は 88.8 万人と 12.1%を占めるのみで、残り 87.9 %は実に小売、整備、卸売、サービス、金融、保険、ガソリンステーション、資材関連、駐車場といったアフターマーケット部門となっている。
更に、利益ベースで見ると幾つかの説が存在するものの、製造生産部門では全利益の 10 %にしか至らず、90 %以上が所謂アフターマーケット部門で発生しているとも考えられている。
一般的に自動車メーカーの企業数数は限定的であるものの、自動車業界食物連鎖の最上位に位置し、下請けからの購入価格・販売先ディーラー向け仕切り価格の調整により、ある程度の損益に対するコントロールを有する。一方、最終組立者兼、卸売者であることから、販売の好不調に伴う在庫変動リスク・費用、定期的に発生する莫大な開発費、海外向け販売などによる為替リスクなどを数多く抱える。
一方、アフターマーケットプレーヤーは企業数が多く、自動車から派生する様々な商品を提供するプレーヤーが、各自独自の事業展開を行っているため、単独企業でのバリューチェーンは形成されていない。顧客の視点から見ても、個々のセグメントに無数のプレーヤーが存在し、重複するアセットを無駄に保有している状態にあることが多い。
日本でさえ、これからは製造領域以降のアフターマーケットの規模が更に拡大すると同時に、業界内の中小規模プレーヤーの再編が予想されており、今後自動車に付帯する商品やサービスはその質的・量的拡大を見ると考えられる。この利益の刈り取り場であるアフターマーケットに、自動車メーカーやディーラー、その他のプレーヤーはこれからもこぞって注力していくであろう。
限定的なセグメントや地域の中ででも、異なる価値連鎖を連結することが出来れば、アフターマーケットという収益性の高い市場の中で一定以上のプレゼンスを維持することが可能になる為、これから新たにアフターマーケットそのものが発生してくると思われる中国という国には、まだまだ参入機会は豊富に存在する。
<長谷川 博史>