AYAの徒然草(26)  『「今が旬」ではなく、「今も旬」』

仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。

……………………………………………………………………………………………

第26回 『「今が旬」ではなく、「今も旬」』

みなさんは今の季節、「春」の食べ物で一番好きなものは何ですか?たけのこ、わらび、たらの芽、ふきのとうなどの山菜類、また、新じゃが、新キャベツ、新たまねぎ、アスパラガスなど春野菜の代表格も含め、春には旬の野菜がたくさんあります。その他、真鯛やあさり、はまぐりなども春が旬のものですよね。春は美味しいものがたくさんあります。日本の春は、こんなふうに旬のものがたくさんある上に、桜が咲いたり草花の芽が出たり、また、年度始めでもあり、何かとフレッシュな気分になれるとても良い季節です。

「夏」が旬の食材は、トマトやなす、かぼちゃ、ももなどがありますよね。「秋」はマツタケやしいたけ、れんこん、ぶどう、栗、秋刀魚やさば、いわしなど。「冬」は、白菜や大根、ブロッコリー、りんご、みかん、ブリ、牡蠣・・・といったように、よくスーパーでも目にする野菜や果物・魚の「旬」は、みなさんよくご存じだと思います。

しかし、最近は、温室栽培などのお陰で、一年中あらゆる食材を入手できてとても便利ですが、食材の旬が一体いつなのかわからなくなってきています。旬の食材は、美味しいのはもちろん、栄養価も高く、しかもとっても経済的なんですよ。日本にはせっかく四季があるのだから、そんな旬の食材をなるべく多く使って、食卓でも季節を感じられれば、食事が一層美味しく、楽しくなるような気がします。

また、旬の食材には、太陽や大地の生命力がみなぎっていて、それを食べた私たちの体の中へも自然のエネルギーが入り込んでくるような気がしませんか。でも、そんな自然の恵みを享受するのは、実は至難の業なんです。そもそも「旬」とは、「10日間の期間」を意味する言葉ですよね。「上旬」「中旬」「下旬」と言えばわかりやすいと思います。野菜や果物の「旬」の盛りはあっという間に過ぎてしまうということです。

そんな、「旬」の盛りがあっという間に過ぎてしまう食材が多い一方、ずっと「旬」が続くものもあるんですよ。何だかおわかりになりますか?それは、「ブリ」です。「ブリ」は、大きさ(成長)によって名前が変わる出世魚の代表で、とても縁起の良い魚です。大きくなるにつれて名前が、ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリと変わります。成長するにつれてだんだんと脂がのってきて美味しくなり、「ブリ」としての旬は「冬」になります。でも、それぞれの名前の時にはそれぞれの魚としての「旬」なわけなのですから、「ブリ」には旬が4 回訪れるということです。

私は、人間も「ブリ」と同じで、いつの年代でも、それぞれの年代が常に「旬」だと思うんです。人は、10 代、20 代、30 代、40 代、50 代、60 代・・・・と、年代ごとにできることややるべきことって違うと思うんです。仕事なら、年代によって役割も違うし、責任も違います。「旬」という言葉の意味には、「物事を行うのに最適の時期」という意味もあります。そんな最適の時期に、できることややるべきことを精一杯やっていれば、年を重ねても、常に「旬」の連続なんじゃないのかなぁと思うんです。若い時だけが旬だなんて思っていたら、大間違いです。

最近、幼い子どもを持つ専業主婦の 95 %が再就職を希望しているという記事を新聞で読みました。そして、その再就職希望者に、「どのような仕事をしたいのか」と尋ねたところ、「自分の成長が感じられる仕事」と答えた女性が最も多かったそうです。「子育て」は、きっとある時期の「旬」の仕事だろうと思います。でも、ブリのように、子どもが成長していくにつれて、女性の「旬」の仕事も変わっていくのではないでしょうか。子どもを産んでからも、自らの成長を意識して次の「旬」の仕事に取り組もうとする女性が多いのは、本当に素晴らしいことだなぁと思いました。

私も、そんな女性たちに負けずに、今の年代でしかできないことややるべきことを精一杯やって、年を取ったらまた別の「旬」の仕事に臨む、そうしていつまでも「旬」のままで輝き続けていけたらいいなぁと思っています。みなさんはどうですか?「今が旬」ですか?それとも、「今も旬」で、これからもずっと輝き続けますか?

<佐藤 彩子>