AYAの徒然草(40)  『夏の思い出を、どこにメモリーしていますか?』

仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。

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第40回 『夏の思い出を、どこにメモリーしていますか?』

立秋は 8月 8日ですから、もうとっくに暦の上では秋が始まっています。しかし、今年の夏は残暑が厳しく、最高気温が 30度を超える真夏日がまだまだ続きそうな気配です。テレビのニュースでは、「今日もこの夏の最高気温を記録しました!」と、毎日聞いているような気がします。

そんな暑い日が続いても、子どもたちの夏休みが終わりに近づくと秋の雰囲気も漂い始め、夏もそろそろ終盤かなぁと感じます。みなさんにとって、今年の夏はどんな夏でしたか?そして、どんな思い出が残っていますか?

行楽地へ出かけると、夏のレジャーを満喫している家族連れをよく見かけます。楽しい思い出を残そうと、お父さんがカメラマンになって一生懸命、家族の写真を撮っている姿をよく目にします。お父さんは大変なんだなぁと思いながらも、ほほえましい光景にほっとするひとときでもありますよね。

「写真」の最大の魅力は、一度しかない瞬間を「画像」としてデータで残しておけることです。撮った後で、その場にいなかった人にも見せることができますし、後になって写真を見ながら、懐かしい思い出に浸ることもできます。また、撮る人によって、タイミングや構図のセンスの違いが出てくるので、芸術的な観点でも見ることができます。良い写真は、人に感動も与えるのです。

私も、写真を撮ることが大好きで、たとえ近場でも、どこかにでかける時は必ずかばんの中にカメラを忍ばせていました。シャッターチャンスを逃すまいと、ずっと首からぶら下げている時もありました。スキューバダイビングにはまっていた頃は、海の中でも水中カメラを持ちながら潜っていたほどです。自分が見て感動したものを写真に撮り、その感動を誰かに伝えたいと思う気持ちが強かったのです。しかし、最近は、肌身離さずカメラを持ち歩くことを止めたんです。

写真に残せば、思い出がデータとして残っているので、なんとなく、自分の脳裏にも思い出が焼きついている錯覚を起こしていたんです。せっかくの感動の瞬間なのに、それをファインダー越しに見ていることが、なんだかもったいないなぁと思い始めたんです。二度とやってこない瞬間を、自分の「目」にしっかりと焼きつけ、同時に「耳」や「肌」で感じるといった五感で記憶した方が、きっと、時間が経っても楽しい思い出として、私の中に鮮明に残り続けてくれるような気がしてきたんです。

だから、今年の夏に撮った写真の数は、とても少ないのです。今年の夏の思い出が少なかったわけではなく、たくさんあるんですよ。

今年の夏の旅先で、生まれて初めてバイクに乗ったこと。それが、風を切ってとても気持ち良かったけどスリルも満点だったこと。砂浜で波の音を聞きながらお魚料理を食べたこと。焼きとうもろこしが美味しかったこと。ジリジリと照りつける太陽と青い海と青い空が気持ち良く、日ごろの疲れを一気に吹き飛ばしてくれたこと。静かな波の音と爽やかな風に癒されたこと。何年ぶりかにビリヤードとトランプをやってエキサイトしたこと・・・など、たくさんの思い出が私の脳裏にしっかりと焼きついています。私が見たもの・聞いたもの・楽しいと思ったことが、写真よりもずっと鮮明に残っているんです。

半年ぐらい前から、デジカメや携帯電話などの画像を保存する「メモリーカード」の価格が、三分の一から四分の一と急落しているそうです。これは、部品である半導体の価格が下落している上に、夏は行楽シーズンで需要が高まる時期で、メーカー各社が価格面でのシェア確保に走り、競争が激しくなっているからだそうです。特に、メモリ容量が 2GB といった大容量タイプのものは、昨年までは、一万円弱から一万数千円していたものが、今では、五千円前後で買えるようになったそうです。

私の頭は、学校の勉強や、仕事で覚えなくちゃいけない難しい知識を記憶する容量はとても小さいようで、なかなか覚えられません・・・。でも、楽しい旅の思い出や感動を記憶する私の「思い出容量」は、買いやすくなったという大容量のメモリーカードよりもずっとずっと容量が大きく、無限大なんです。

<佐藤 彩子>