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ホンダ、「レジェンド」を8年ぶりに全面改良、最高出力は300馬力に
ホンダは 7日、高級乗用車「レジェンド」を全面改良し、発売した。4 つの車輪の駆動力を自在に変える 4 輪駆動力自在制御システム「SH-AWD (スーパー・ハンドリング・オール・ホイール・ドライブ)」や、夜間見えにくい歩行者を検知し運転者に警告する「インテリジェント・ナイトビジョンシステム」など世界初の技術を多く取り込んだ。
ホンダに限らず各社が発売する高級車には様々な最先端技術が搭載されており、高級車セグメントは単体としての商品の意味合いのみならず、各社が最先端技術の実用化を競う場としての意味合いを更に強めている。
このような先端技術は価格が高く、当初はオプションとして提供されることが多いが、その技術の有効性が消費者にとって認められてくると、下のクラスの車種にも展開されていき、また徐々に標準装備ともなっていく。
また、そういった過程の中で、当初価格が高かった技術も徐々に改良が進んだり、量産効果などで価格が下がってくる傾向にある。
一方、消費者側の視点で見ると先端技術が搭載され始めた当初はそれほど必要性を感じなくても、徐々にその利便さ、機能といったものに慣れてくると、やがて搭載されていることを普通のこととして受け止めるようになる。
現在の車に搭載されている標準装備も元々は先端技術としてオプション提供されていたものが多い。例えばカーナビなどもその一例である。今では搭載されていることが普通になりつつある。
そして、そういった技術に慣れるといった現象は自動車に限ったことではない。例えば、携帯電話も現在では多機能化が進み、カメラなどが普通に搭載されている。そうなるとカメラをそれほど使用しないという人は使用しなければいいだけであり、わざわざカメラがついていないものを好んで買い求める人は少ないだろう。
このように、元々はカメラが付いていないものを買うのに理由はいらなかったが、一旦カメラが付いていることが普通になってしまうと、カメラが付いてないものを買うことに何かしらの理由が必要になってしまうのだ。
その理由としては機能以外のデザイン、コストの安さ等といった価値が挙げられる。そしてその価値は消費者に認められる必要があるのである。価値を認めさせることができなければ消費者はカメラ付き携帯に流れてしまう。
自動車業界に話を戻すと、先端技術開発には莫大な費用が必要とされ、リソースに限りのある自動車メーカーなどは最先端技術にそれほど資金を投入できないのが現状であろう。その場合、最低限の技術レベルを確保することは必要であるが、それ以上に技術以外の何らかの価値を消費者に訴求し、認識してもらうことが重要と思われる。
かつて、今後、企業の優劣を決定するであろう先端技術開発の費用を捻出するためには規模の経済が必要であるというのが 400 万台クラブの思想であったが、今振り返ってみるとそれは絶対的なものではなく、技術以外でも独自の価値を消費者に提供できているメーカーが求められ、業績的にも好調なのである。
<秋山 喬>