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米国自動車業界の購買(2)
弊社親会社であるアビームコンサルティング(旧デロイトトーマツコンサルティング)が、自動車業界におけるモノづくりから実際のチャネル戦略に至るまで、さまざまな角度から提案していく。
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第 9 弾は、アビームコンサルティング USA 代表 ダロン・ L ・ギフォードとアビームコンサルィテング USA マネージャー河合博子が、米国自動車業界の購買について 4 週に渡って紹介する。今回はその第 2 回にあたる。
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第9弾『米国自動車業界の購買(2)』
(日刊工業新聞 2005年03月23日掲載記事)
企業が部品や原料の購買・調達プロセスをグローバル展開し、得られる経済的効果を競争に勝ち抜くための武器にしようとし始めてから 10年以上がたった。だが現在、完成車メーカーの米国ビッグスリーはグローバル化した購買組織を実際にうまく活用できているのか。またサプライヤーとの関係改善を含めて、グローバルな舞台で通用する競争力が本当についているのか。今回はそれを検証したい。
日本の自動車メーカーと部品メーカーの「系列取引」の関係を見習い、80年代から関係改善を目指し努力してきた米国メーカー。さまざまな取り組みが行われたにもかかわらず、両者の関係は依然、信頼関係と呼ぶには程遠い状態にある。
不信の歴史が根強く残っているため、自動車メーカーが購買プロセスのグローバル化、効率化を掲げて節約したキャッシュを技術投資にまわすとしていても信じるサプライヤーは少ない。さらに問題にはビッグスリー各社が、サプライヤーを絞りあげてコスト削減要求を押し付けても、自社のマーケットシェアのばん回や利益拡大につなげていないことが挙げられる。
マーケットシェア拡大、利益の増大は、サプライチェーン上流におけるコストの搾りだしだけで達成できることではなく技術革新や高品質化、消費者ニーズにマッチした新車モデルのスムーズな市場投入によって確立されることは周知の通りであろう。
問題が山積する両者の関係。だがビッグスリーは真の意味でグローバル化の実践に企業の存続がかかっていることを厳粛に受け止めている。例えば、ダイムラークライスラー社のクライスラー部門はドア・ロックのサプライヤーであるキーカート社に車体ドア接合部品のパーツのグローバル調達化を奨励し、それを積極的にサポートした。完成車メーカーがサプライヤーに市場競争力をつけた好例と言える。
また、クライスラー社はハーネスを調達しているサプライヤーをメルセデスの車体ハーネスの仕入先に指定。サプライヤー側がデザイン・開発にかける投資を最大活用できる関係を築いていこうというのである。
さらに新年早々に同社のエンジニアや購買部バイヤー、サプライヤー品質管理者、開発部門プロダクト・デザイナーなどで構成する委員会を結成。部品調達の課題について個別で検討を開始した。つまり車のシートを製造するサプライヤーと、燃料噴射装置を製造するサプライヤーでは、抱える問題やコスト構造に違いがあるのは当然で、それぞれ取り組み方も違うことを理解するためである。
かつて「サプライヤー全社に一律 6% のコストカット」(例)などといった理不尽な目標を課してきた米国自動車メーカーの遅々たる歩みだが、これらの取り組みは変革に向かおうとする努力の表れと言えよう。
<ダロン・L・ギフォード/ 河合博子>