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韓国自動車メーカーの躍進について
2007年 10月から自動車業界に関連するあらゆる傾向をアンケート調査してきた
「住商アビーム 1 クリックアンケート」が 2011年 2月からリニューアル致し
ました。ご回答頂いた皆様の声をもとに、翌月、このテーマに関するレポート
を発表致します。
今月の特集は「韓国自動車メーカーの躍進について」です。
拡大する現代自動車グループの自動車販売シェア(グローバル)について
(2011年9月6日配信分)
質問
韓国・現代自動車グループ(起亜自動車含む)がグローバル新車販売市場で
躍進を続けています。以下の通り、2004年には 4.7 %だった販売シェアが 2010
年には 7.2 %になり、ほぼ右肩上がりでの拡大を実現してきています。
[自動車販売シェア(グローバル)推移]
現代自 Gr. トヨタ Gr.(参考)
・ 2004年: 4.7 % 11.6 %
・ 2005年: 5.1 % 12.3 %
・ 2006年: 5.2 % 12.9 %
・ 2007年: 5.1 % 12.7 %
・ 2008年: 5.5 % 12.4 %
・ 2009年: 6.9 % 11.2 %
・ 2010年: 7.2 % 11.0 %
現代自 Gr.の中長期ビジョン「Vision 2020」では、社内目標値として 2020
年の自動車販売シェア(グローバル)を 15 %に設定しているとの報道があり、
今後も意欲的にシェアを伸ばしていこうという姿勢が伺えます。
また、ここ最近では、欧州・北中南米との経済連携協定締結の推進による関
税の撤廃・減免や、円高ウォン安の状況が続くなど、現代自 Gr.の自動車販売
を促進するポジティブな外的環境もあり、着実にシェアを伸ばしています。
2011年上半期(1~ 6月)の現代自 Gr.の自動車販売シェア(グローバル)は、
7.9 %(※)となりました。
※2011年 4月単月では、8.7 %を記録しました。
このように躍進を続ける現代自 Gr.ですが、2020年の同グループの販売シェ
アはどのようになっているでしょうか。以下選択肢の中で、読者の皆様が最も
当てはまると考えられるものを一つお選びください。
1. 15 %以上(現状より大幅増加、中長期ビジョンの社内目標達成レベル)
2. 10 %以上 15 %未満(現状より増加、首位競争レベル)
3. 7 %超 10 %未満(現状より微増)
4. 7 %(現状維持)
5. 7%未満(現状より減少)
アンケート結果
現代自動車グループのセグメントミックスについて
(2011年9月13日配信分)
質問
前号では現代自動車グループ(起亜自動車含む)の 2020年の自動車販売シェ
ア(グローバル市場)についてお伺いしました。結果は、以下の通り「現状の
7 %より増加する」との見通しをされた方が 86 %に達するものとなりました。
また、中でも首位競争レベルである「10 %以上」を選択された方は 56 %に及
び、今後の飛躍を予想する方が非常に多い結果となりました。
「15 %以上」 :23 %
「10 %以上 15 %未満」 :33 %
「7%超10%未満」 :30 %
「7%」 :13 %
「7%未満」 : 1 %
現代自動車グループは、元々インド、ブラジル、中国などの新興国で強いと
いう定評がありますが、ここ最近では経済連携協定の締結促進などもあり、欧
州・北米などの先進国市場でも着実にシェアを拡大しています。
実際に、欧州自動車工業会によれば、2010年の欧州市場における現代自動車
グループの販売台数は、トヨタグループの約 60 万台を上回る約 63 万台にな
り、初めてトヨタを抜いてアジアメーカーとしてトップにたちました。また、
来年 1月に欧州自動車工業会への加盟も決まり、更に基盤強化に取り組んでい
ます。
また、読者の皆様もご承知の通り、米国市場においても、東日本大震災以降、
多くの日系メーカーが苦戦する中、現代自動車グループは日本勢のシェアを奪
い、拡大させてきています。
このように、新興国のみならず、先進国においてもシェアを伸ばしつつある
現代自動車グループですが、今後、グローバル市場全体でシェア拡大させてい
くために、これまで以上に商品ラインも拡充させてくることが予想されます。
今後、現代自動車グループが特に注力してくるのは、どのセグメントだと思わ
れるでしょうか?
以下選択肢の中で、読者の皆様が最も当てはまると考えられるものを一つお
選びください。
1. A セグメント(参考:トヨタ/iQ)
- 現代/ i10、起亜/ Morning など
2. B セグメント(参考:トヨタ/ヴィッツ)
- 現代/ i20、起亜/ Pride など
3.C セグメント(参考:トヨタ/カローラ)
– 現代/ i30、Elantra、起亜/ Forte など
4.D セグメント(参考:トヨタ/カムリ)
- 現代/ Sonata、起亜/ Optima など
5.E セグメント(参考:トヨタ/クラウン)
- 現代/ Genesis、起亜/ Grand Carnival など
6.その他(商用車、他)
アンケート結果
現代自動車グループの強みについて
(2011年9月20日配信分)
質問
今月、日産/志賀 COO が韓国を訪れ、記者会見の場で日本の自動車業界が持
つ危機感として下記コメントがあったとの報道があります。
・「(現代自/ソナタに乗った時の感想として)デザインや性能、燃費など、
何一つ問題はない」
・「韓国車の成長が今のペースで進めば、日本車は本当に居場所がなくなるか
もしれないと感じた」
また、志賀 COO は同記者会見で、日系企業との最大の違いとして「意思決定
のスピードが非常に速いこと」を挙げています。
現代自動車グループの自動車販売を後押ししている要因として最近挙げられ
ているものとしては、経済連携協定締結の推進による関税の撤廃・減免や、円
高ウォン安の状況が続くなど、ポジティブな外的環境があります。
然しながら、このような外的環境が後押ししていることに加えて、志賀 COO
のコメントのように、内部に独自の強みを持っていることが昨今の販売シェア
拡大に繋がっているのではないでしょうか。
それでは自動車業界に携われる皆様に、「現代自動車グループの特にどこに
脅威を感じるか」についてお伺いしたいと思います。以下選択肢の中で、読者
の皆様が最も当てはまると考えられるものを一つお選びください。
1. 開発・製造品質:
-現地ニーズを積極的に取り入れた商品企画力
-初期・耐久性品質(IQS・VDS)の向上
など
2. 低コスト:
-モジュール化の推進
(現代本体の半分と言われる低賃金のサプライヤによるモジュール対応)
-グループに現代製鉄などの原材料・素材メーカーを保持
など
3.販売・マーケティング:
-失業者保証販売制度などの販売企画力
-新興国での大量広告施策
など
4.企業文化や組織・オペレーション:
-トップダウンによる早い意思決定スピード
-工場におけるリモートコントロール方式の導入や工程の細分化など
による作業者の業務単純化・システム化
など
5.その他
アンケート結果
現代自動車グループの成長戦略について
(2011年9月27日配信分)
質問
米ワーズオートによれば、現代自動車グループが、欧州市場に続いて、南米
市場(※)においても各日系自動車メーカーの新車販売台数(2011年 1-5月累
計)を抜いたとの報道があります。
※ブラジル、アルゼンチン、チリ、ウルグアイ、ベネズエラの五ヵ国
現代自動車グループは、南米市場においてもブラジルに生産拠点を新設する
ことを決めました。ブラジルに工場が新設されれば、BRICs 全域に生産拠点を
持つこととなります。
また、ブラジルの他にも、以下のように海外生産工場の新設や能力増強を計
画しており、事業基盤を拡大させようとする姿勢が伺えます。
[国名] [年産能力(千台)] [稼働予定]
●現代自動車: インド 600 –
トルコ 125 → 200 FTA 締結後確定
中国 600 → 1,000 2012年下期
米国 300 –
チェコ 200 → 300 2011年末
ロシア 150 → 200 2012年
ブラジル 0 → 150 2012年下期
●起亜自動車: 中国 430 → 730 2012年
スロバキア 300 –
米国 300 → 360 2012年
このように積極的に投資を進め、生産体制を拡大させつつある現代自動車グ
ループですが、どのメーカーであっても、ヒト・モノ・カネという経営資源に
は限りがあるはずです。こうした事業拡大を独自で手掛ける戦略かもしれませ
んが、更なる拡大の為に、特定領域で他社との提携関係を模索し、リソースを
活用するという選択肢も考えているのではないかと想像します。
今後、現代自動車グループが成長シナリオを描くにあたって他社と特にどの
領域において提携を検討していく可能性があると思われますか?以下選択肢の
中で、読者の皆様が最も当てはまると考えられるものを一つお選びください。
1.先進国メーカーとの、環境技術など高付加価値領域における技術面での提携
2.先進国メーカーとの、プラットフォーム共通化や、車両・エンジンの OEM
相互供給などの生産面での提携
3.新興国メーカーとの、現地ニーズの吸収・マーケティングでの連携などの
販売面での提携
4. 新興国メーカーとの、技術供与、地場サプライヤー育成などの生産面での
提携
5. 特に提携はせず、独立独歩で成長戦略を描く
6.その他