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AYAの徒然草(60) 「本当に『品格』のある人とは」
仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。
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第60回 『本当に「品格」のある人とは』
仕事に対する姿勢から恋愛に至るまで、女性としての品のある振る舞い方を書いた本「女性の品格」。昨年ベストセラーになりましたよね。私も読みました。「ふむふむ、こんな完璧な振る舞いができる女性はなかなかいないよなぁ」というのが私の率直な感想でした。でも、心構えとしてはこれくらいの完璧なレベルまで意識していた方が良いんだろうなと思い、私は、本に書いてあったことを箇条書きに書き直し、いつでも見ることができるようにそれを携帯しているんです。
ある時、その本の著者である坂東眞理子さんが監修者になっている検定があると聞いたんです。「女性の品格検定」でもやるのかしら???と興味津々で調べてみたら、なんとその名は「家事検定」。一般的なマナーに関する問題のほか、お料理・お掃除・お洗濯・収納・家計管理の分野までの家事全般についての検定なんです。ちょっとおもしろそうなので、私も試しに受験してみたんです。家事検定と言いながら、主婦のみならず、年齢・性別・未婚既婚を問わず誰でも心得ておくべきことについての問題ばかりでした。また、昔からの日本人の生活の知恵のような問題もあり、家事にも伝統があるんだなぁと私は問題を解きながらそんなことも考えていました。
そう言えば、私が通っていた中学校では、週に一時間「礼儀作法」の授業がありました。礼儀作法専門の、いつも着物姿がビシっと決まっているとても厳しいおばあちゃん先生が、一人ずつ手取り足取り礼儀作法を教えてくれる授業でした。美しいお辞儀のしかた、おしとやかな言葉遣い、懐紙を使っての和菓子の食べ方、ふすまの開け方閉め方などを、床の間のある和室の教室で正座をしながら教わっていました。でも、私は正座が苦手なので、礼儀作法の授業は大嫌いでした。しかし、今思えば、もうちょっと真剣に聴いていれば良かったなぁと思っています。だって、あの頃からちゃんと礼儀作法を身につけていれば、今ごろは私ももう少ししとやかな女性になっていたかもしれないのに・・・という後悔の念があるからです。
ところで、みなさん、「品格」とは一体なんでしょうか?みなさんはどんな人を「品格のある人」だと思いますか?家事検定の問題のような常識的なマナーが備わっている人のことを「品格のある人」と言うのでしょうか。それとも、私が中学時代に教わっていたような礼儀作法を心得ている人のことを言うのでしょうか。
先日、私は、ある懇親会で「品格」を見たんです。「あっ、こういう人を『品格のある人』って言うんだな」と直感したんです。それは、お酒の席でしたが、話の流れで「朝の通勤ラッシュ」の話になったんです。みんなが口を揃えて「朝の満員電車はストレスが溜まるよね」と話していたら、一人の男性が、そんな朝の通勤ラッシュを避けるために、すごく早起きをして通勤していると話していたんです。就業開始時間よりも 1時間も前に会社に到着するので、仕事の前にきっちり 1時間、会社近くのカフェで美味しいコーヒーを飲みながら勉強に励んでいるそうなんです。そのお陰で、満員電車でのストレスもなく、そして、毎朝 1時間の勉強で知識も身につき、さらに早起きが助走となり仕事も開始と同時にエンジンがかかってはかどるそうなんです。きっと、効率が良くなって毎日、仕事を終える時間も早いに違いありません。そんな「早起きは三文の徳」を毎日実践している姿を、周囲の人や上司も当然知っているのかと思いきや、「そんなことは人に言うことじゃないですよ。僕の周りの人は誰も知りません。」とまるで謙虚な態度で、どこまで出来た人なんだと感心してしまいました。と同時に、「謙虚さ」って品を表すんだなぁと彼の姿を見て私は実感したんです。
彼は、きっと、自分が素晴らしいことをしていることを鼻にかけず、地道な努力を地道なままに続けられる人なんですよね。本当に素晴らしいと思います。私だったらきっと誰かに褒めてもらいたくて、「私は毎朝早起きして仕事の前に 1時間勉強しているんですよ!(すごいでしょ!)」と周りの人に自慢しちゃいそうです。
また、彼のような「謙虚な人」って、自分のことを「謙虚な人」ということにすら気づいていないものですよね。こういう人は、内に秘めた「自信」が表に出る時に、それが「謙虚さ」に変わるんですね。だって、誰が見ても品格がある人だなぁと思うような人は、決して自分で自分のことを「私には品格があります」とは言いませんよね。「品格」とは、あくまで「他人からどう見えるか」ということが軸になる評価なんですね。
つまり、「自信」と「謙虚さ」のバランスが良いと、それが「気高さ」や「上品さ」というような目に見える「品格」として滲み出てくるものだと思うのです。人は、傲慢になってしまったら進歩がそこで止まってしまいます。どんな偉い人でも、謙虚な姿勢を忘れてはいけないと思うのです。しかし、その対極にある「自信」もなければ、思い切った行動やいろんな気持ちを奮い立たすこともできないと思うんです。だから、「自信」と「謙虚さ」のバランスがとても大事なんですね。
さて、私は先日受けた「家事検定」の結果が今からとても楽しみです。結果は 4月中旬くらいに送付されてきます。でも、結果が重要なんじゃなくて、それを参考にして自分に備わっているもの・無いものをおさらいし、自分自身をみつめるきっかけになればいいなぁと思っています。そして、これを機会に、私も「品格」のある女性を目指すべく、「自信」と「謙虚さ」のバランスについてもうちょっと私なりに考えてみたいと思います。
<佐藤 彩子>