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現代自動車、ハイブリッドカーを開発し、今年10月に初披露…
◆現代自動車、ハイブリッドカーを開発し、今年10月に初披露へ
「ハイブリッド・クリック」を50台生産し、政府に供給すると明らかに
◆韓国の現代重工業、ハイブリッド車向けのモーターを韓国内で初めて開発現代自動車「トゥサン」に搭載し、10カ月にわたる性能実験を終えたと発表
<2004年08月30日号掲載記事>
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韓国でもハイブリッド電気自動車(HEV)の開発が活発化してきた。現代自動車が今年10月に50台、来年11月に350台のHEVを生産、供給すると発表した。現代自動車は2000年よりHEVの開発に着手しており、早ければ2006年に本格的量産を開始するという。
近年、世界的に環境・省エネ意識は加速度的に高まっているが、最近の原油価格の急騰によって、燃費向上を求めるユーザー層も増えつづけることは間違いないだろう。一方で、次世代エネルギーと期待されていた燃料電池電気自動車の普及がまだ不透明な中で、日米ではHEV、欧州では次世代ディーゼルエンジンが大きく注目されており、着実に普及へ向けて進んでいる。
韓国では、ガソリン、ディーゼルエンジンのほかに、LPG 自動車の普及が他国よりも普及しており、環境・燃費性能に対する意識が自動車先進国よりも低いわけではない。当然、国内市場でのアピールというのもあるであろうが、今回の現代自動車の HEV の狙う市場は、既に独占的とも言えるシェアを誇り、年間 150 万台程度の成熟した韓国市場ではなく、世界一の市場であり、現地生産によるシェア拡大を狙う米国であろう。
米国市場での拡大的展開において、カリフォルニア州環境局の定める CAFE 基準(メーカーごとの平均燃費基準)対応や、将来的には求められるであろうZEV (Zero Emission Vehicle、無排出ガス車)販売義務対応(HEV はパーシャル ZEV として認められている。)は避けて通れない課題である。近年課題であった品質問題については JD Power 社評価でも高得点を取得し、他メーカーに負けない状況となった今、同社にとって、最も重要な課題の一つと考えられる。
しかし、日米欧を始めとする自動車先進国以外の地域では、まだまだ環境性能に高いコストを払うユーザーは増えていないのも現実である。今後10年間において、世界的な自動車市場の拡大を担うといわれるBRICs(ブラジル、ロシア:CIS、インド、中国)を始め、まだまだ低価格帯の自動車が乗用車市場の中心を占める国々では、コスト重視の購買が進んでおり、環境性能にお金を払うユーザーがまだまだ少ないのが現実である。
勿論、こうした国々でも、昨年あたりから排ガス規制等については先進国に倣って法制整備を進めている。しかし、自動車市場拡大との両立を考えると、自動車メーカーが主体的に高い環境性能を持つクルマを安く導入することに取り組んでほしいと考える。今週トヨタが発表したインドネシアで生産・販売する「キジャン イノーバ」では、可変バルブタイミング機構を採用したガソリンエンジンやコモンレール式ディーゼルエンジンを搭載しながら、既存の商品と同等以下の価格帯で販売するという。こうした環境性能と価格競争力の両立が、今後のシェア拡大に求められるのではなかろうか。
今回の現代自動車の HEV 開発で重要な役割を果たしているものの一つは、現代重工業のモーター開発であろう。現代重工業が今回発表した内容によると、性能実験を成功裏に終え、HEV の実質的な国産化を可能にしたという。
HEVの機関部品であるモーター、ジェネレーターや動力分割機構の開発については、日本メーカーが世界を大きくリードしており、近々発売される予定のFord EscapeのHEVにも、日本メーカーが供給することになっている。
こうしたHEV技術についても、世界的に競争が高まることで、自動車メーカー各社の技術革新が進み、先進国だけでなく、世界的な普及につながることを期待したい。
<本條 聡>