自動車技術革新 あったらいいのに なくていいかも(2)

昨今の自動車の技術革新には目を見張るものがありますよね。パンクしても走れるタイヤ、自動で縦列駐車する車、カーブに合せて減速する車など、それこそ挙げだしたらきりがないくらい。

一昔前じゃ考えられなかったようなことが、いつの間にやら当たり前になっていたりします。

しかし、そんな中にも、ユーザーの視点から見ると、最初は喜んで使っていたけどいつの間にか使わなくなるもの、ここが改善されればもっと便利になるもの、何故か昔からあまり変わってないもの、など一言云いたくなるものも少なくないと思います。

このコラムでは、そんな自動車の技術・部品・機能について、自動車を愛する1ユーザーの立場からの提言を、徒然なるままに書きたいと思います。

第2回 『シートアジャスター』
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前回はサンバイザーについてでしたが、今回はシートアジャスターです。

シートの位置や確度、そのほかの調整を行う機構ですが、昨今の乗用車、特に高級車の多機能性には目を見張るものがあります。

基本機構はスライドによる前後調整、シートバックのリクライニング調整、ハイトアジャスターによる上下調整の3つですが、それに加え、座面の角度調整、腰椎部の支えの調整(ランバーサポート)、両サイドのホールド性の調整、ヘッドレストの上下・前後調整などがあり、他にも多数あると思われます。

調整機能自体も、手動と電動があり、電動には、メモリー機能がついたものが高級車を中心に普及しています。角度の調整方法も、手動のリクライニング調整を考えても、日本では一般的なレバーで操作する段階式のものや欧州車に多いダイヤルで操作する無段階式があり、電動の場合はほとんど無段階で調整が可能です。

また、クーペ車のように、後席の乗降のためのウォークイン機構などもあります。その多機能化のコンセプトは、どんな体格の人でも、乗車する車種に合わせて、安全で長時間のドライブでも疲れにくいように快適な位置調整を行うということが主だと考えます。

ところで、その多機能な調整機能ですが、皆さんは使いこなしていますか。

購入時に「だいたいこんなもんかな」と大雑把に調整し、その後他の人が運転する時に動かさない限り、ほとんどそのままの状態で運転される方も少なくないと思います。

また、長時間運転して疲れたので、サービスエリアでリクラインニングを倒して休んだものの、運転を再開するときに調整しようとすると、段階式やメモリー機能付の電動なら元の位置に戻せますが、メモリーがない電動などの無段階調整だと、「だいたいこの辺だったかな」、と適当に合わせることになると思います。高級車の中には、あまりに多機能で、いじったことがないような調整機構もあるかもしれません。

勿論、助手席他乗車しているだけなら、なるべく楽な姿勢ということで、適当な調整でも充分でしょう。
しかし、運転席は、快適性だけでなく、安全に運転できる乗車位置を確保することも重要だと思います。

そこで自動車メーカーやディーラーの皆さんにご提案なのですが、購入時に運転者の体格に合わせた最適なシート位置の調整をサービスしては如何でしょうか。メモリー機能付であれば、その位置を登録してあげたら、なお良いと思います。

自動車メーカーでは、新車開発時に、運転者の着座位置や視界を考え、ハンドルやペダルの位置から死角になるAピラーの位置まで、運転手と車のインターフェースを検討されていますよね。
その際に、開発の基準となる、標準的な視点の位置や、ハンドルやペダルまでの距離設定があるのではないかと思います。
(自動車メーカーの方、間違っていたらご指摘ください。)

であれば、運転者の体格をインプットすると最適な調整位置が割り出せ、その位置に調整してくれるようなサービスがあっても良いと思います。勿論、プライバシーの問題もあるので、希望者しない方は結構ですが、有料になっては調整する人が減るのであまり意味がないかもしれません。新車販売だけでなく、自車ユーザー、特に潜在買い替え顧客の確保にも有効かと思います。

最適な視界の確保やブレーキ応答速度の向上等、少しは運転者の安全に寄与するのではないかと想像します。
自動車メーカーの皆さん、是非とも検討をお願いします。

読者の皆さんでも、自動車の様々な技術について、一言言いたいというご意見あれば、是非ともアイデアを以下メールまでご連絡下さい。
宜しくお願いします。

宛先: info@sc-abeam.com

<本條 聡>