自動車ランプメーカー各社、白色LEDを用いたヘッドランプ…

◆自動車ランプメーカー各社、白色LEDを用いたヘッドランプなどを参考出品小糸製作所とスタンレー電気が「人とくるまのテクノロジー展」で

◆豊田合成、白色LEDを用いた「LEDスポットライト」を参考出品「人とくるまのテクノロジー展」で。自動車ヘッドライトへの適用を視野に

◆市光工業、「ヘッドランプクリーナ装着義務付け」を視野に製品開発

仏Valeoの製品をベースに小型化したヘッドランプクリーナを「人とくるまのテクノロジー展2004」で展示した。フロントライト付近からノズルがせり出してライト部に水を吹きかける。ヘッドランプが汚れると光が乱反射して対向車のドライバーの視認性を妨げるとの指摘があるため、欧州では、HID搭載車にヘッドランプクリーナの採用を義務付ている。来年中には日本もHID搭載車を対象にヘッドランプクリーナが義務化されるという。

<2004年5月18日号掲載記事>
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今年の『人とくるまのテクノロジー展』において、特に出品が多かったものの一つとして、白色LEDをはじめとした次世代ヘッドライト関係が挙げられる。

昨今、LEDは過去の単なる表示装置としての位置付けではなく、省電力、小型化、応答性向上、長寿命化を可能にする次世代照明装置として注目されており、各社で開発が進められている。家庭・オフィス等の照明用としても、近い将来採用されると言われている。

自動車用としても、LEDはテールランプでは既に実用化されており、業界各社は、現在白色LEDを使用したヘッドライトの開発に注力している。
LEDヘッドランプのメリットは、省電力のため燃費向上が期待できること、「球切れ」がないこと、デザインの自由度向上などが挙げられる。

一方で、現時点では、既存のHIDヘッドランプと比較すると輝度や発光効率が不足していること、自動車用としては一般照明用よりも高い品質や信頼性が要求されることなどが問題となっているものの、メーカー各社が開発を進めていること、昨今の急速な技術革新を考えると、近い将来、十分な性能のものが量産されると見られている。

今回の出品では、白色LEDヘッドランプ自体だけでなく、関連した各社独自の技術が数多く出品されていたのも興味深い。

市光工業が今回発表したものに、固定式の配光可変システム(AdaptiveFront-lightning System:AFS)がある。クルマの進行方向に併せて照射範囲を変えるシステムであるが、既存のAFSは光源を駆動させるものが一般的であった。

今回のものは、光源自体は固定のため、小型化、軽量化に貢献できるというもの。メインの光源であるHIDは中央部を照らし、HIDの周りに取り付けられた7個のLEDがステアリング操作に併せて、個別・単独に点灯、消灯することで照射範囲を変える。

また、日本車を意識した小型ヘッドランプクリーナー等も出品した。

その他にも、小糸製作所が出品した、プロジェクターライトにプリズムを搭載することで、無駄になっていた下方向への配光を前面に向けるヘッドランプや、豊田合成、スタンレー等もLEDを利用したライト等が出品された。

これらの背景には、各国のレギュレーションの動きがあると言われている。各社とも2005~6年頃に国内外の規制が緩和されると見ており、それに併せて次世代技術の研究開発を進めているという。

ヘッドランプを始めとする照明機器は、安全性、運転しやすさに直接影響をもたらす重要部品であり、メーカー各社には更なる性能、信頼性、利便性の向上に向け、早期実用化を期待したい。

<本條 聡>